「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
二度あることは三度ある。
2009年09月19日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! トッズ憎悪verA前提 !!

レハトは成人の儀で女を選んでます。
うちのトッズさんは今日も今日とてレハトさんのお命を狙っております。
相変わらずの、これ憎悪なの?ねえ憎悪なの?、なしょっぱい展開で申し訳ないです。


みんな、お待たせ☆
またまたトッズさんの憎悪verAだ…よ……orz

ぐれおにーとたわむれていたはずなのに、なぜこんなことに。

なんだなにがどうしてこうなった。
いかん、これでは名実共にトッズ党員になってしまう。

そんなこんなでグレオニーが憎悪ルートに入ったらしく、リアル体調不良に突入。
やと様のところでグレオニーチャットをなさると聞いて、ロムだけでも出来ないかしら、と思っていたのに……orz







 落 に 咲 く 花


 頭痛がする。
 それほど酷くはないが断続的に波のようにやってくる頭痛が私を悩ませていた。体の不調には気付いていたが、大したことはあるまいと放置していたのがいけなかったらしい。
 久方ぶりの発熱で私は朝から床についていた。
 あれ以来トッズは私の前に姿を現さない。
 その代わり、肌の上を舐めるような視線を感じる。憎まれているのか、愛されているのか。それさえどうでも良くなってしまう、それほどに強い視線だけが私の足首を捕まえている。
 気配だけを漂わせるというのは、護衛として正しいあり方なのだろうか。
 以前、トッズの顔が見たい一心でそうローニカに問うたことがあったが、彼は表情一つ動かさずに、それでいいのだ、それが彼の身には正しいあり方なのだ、と返すだけだった。
 本当にそれでいいのだろうか。
 発熱のせいで鈍った思考に、訳もなく心細くなる。
 平素より熱い息を繰り返し吐き出す。
 体が重く、だるい。何を考えたらいいのか、何を考えているのかすらも分からなくなってきた。ただただぼんやりと懐かしい声が聞きたいと思う。堪らなくあの声が聞きたい。
 重い瞼を無理やり持ち上げ、露台を見つめる。
 彼は決して表立って扉からは現れない。そう出来ない立場にあるからだ。
 露台に陰が浮かぶのを諦め、寝苦しさに寝返りを打った時だった。唐突に背後から部屋に忍び込んできた人の気配に驚く。
 背を向けているせいで誰だか分からない。
 けれど期待に胸が疼くのが止められない自分の浅ましさに唇を噛みつつ、殆ど息を止めるように身構える。不審者の場合は隣室で控えているであろうローニカを呼ばなくては。
「熱出したんだってねー。ダメよ、体調管理には気をつけなきゃ」
 全身で警戒していた耳に飛び込んできたのは、懐かしいトッズの声だった。強張っていた体から緊張が解けるのと同時に、欲が頭をもたげる。
 顔が見たい。顔が見たい、顔が見たい。
 己の体でありながら平素のように簡単に自由が利かない事を忌々しく思いながら、その一心で再び元の姿勢へと戻った。
 私が寝返りを打つのを待っていたかのように、ゆっくりと伸びてきた彼の掌が前と変わらぬ優しい手付きで私の頬を撫でる。だが、その声音や手付きとは裏腹に、彼の目の奥には相変わらず私への愛情は垣間見えない。代わりに暗く澱んだ何かがちらちらと見え隠れするだけだ。
 それが何か気付かないほど私とて愚かではない。
 今が好機、と忍び込んできたのだろうか。
 けれどそれでも良かった。
 折角会えたトッズがすぐにいなくなってしまわないよう、私は夢中で彼の腕を掴んだ。私の行動が予想外だったのか、彼は一瞬だけ怯んだ様子を見せたが、それもすぐに掻き消える。

 ――会いたかった。

 そう告げたところで、トッズの目に宿るものは少しも癒されはしない。むしろ憎しみが増すだけかもしれない。
 それが分かっていても口が動いていた。
 決して愉快と呼べる状況ではないはずなのに、私は頬が緩むのを止められない。
 私がしている事はただの自己満足だ。

 ――会いたかった。

 彼にとって私が何であるのかはどうでもいい。
 私にとってトッズは愛する人なのだ。
 今日まで何度その気持ちを捨ててしまおうとしたか。だがどう足掻いてみたところで、その感情だけは揺らがなかった。一番大事なときに揺らいでしまったくせに。
「俺も会いたかったよ」
 皮肉めいた口元がそう嘯く。
 明らかに私の言葉を信じていない響きに笑ってしまう。お互いどこまでも頑固なのだ。
 私は愛していると言う。
 彼も愛していると言う。
 けれどそれは、その背後に隠された正反対の感情に裏付けされている。根底に流れているものは同じでも、その姿は似て非なるものだ。混じり合うはずがない。
 私の手をすり抜けたトッズの手が、私の額に触れる。ひんやりとした掌がひどく心地良い。
 やがてトッズの指先が私の喉元に移動した。
 このまま首を絞められるのだろうか。
 私が熱に浮かされながらそう考えたのを察したのか、トッズは口だけで笑った。
「安心していいよ、今はまだ殺したりしないから。弱ってる時に殺ってもつまんないし、意味ないしね。俺のことを憎んで憎んで憎んで、俺のことだけ考えながら死んでもらわないといけないんだから」
 そう囁かれて私は戸惑った。
 例えばいつかその時が訪れたとして、私はトッズを憎む事が出来るだろうか。確かに苦しいとは思うだろう。だがトッズを憎んで死ねるだろうか。彼を呪いながら、死んでいく事が出来るだろうか。
 それが彼の最後の、唯一の願いだというのなら叶えたいが、今の私には少々難しい。トッズのことだけを考えながら、というのは可能かもしれないが。
 不意にトッズが素早い動きで扉の方を見た。感覚が鈍っているせいか私には分からないが、何かを感じたのだろう。トッズは身を翻すと、露台から飛び降りあっという間に外に広がる景色に溶け込んだ。
 その背を寂寥の念に耐えながら見届けた後、私は何かに引き摺られるように眠りの底へと落ちて行く。

*       *       *

 翌朝、目を覚ました私の枕元には一輪の花が置いてあった。昨夜、眠りに付いた時にはなかったものだ。それは間違いない。
 差出人の名前はなく、ただ細い茎にリボンが結ばれているだけ。
 だがそれだけで私には贈り主が分かる。
 成人前に体調を崩して倒れたときにも、彼は同じものを贈ってくれたのだから。
 何も書かれていない無地のリボンに少しだけ落胆しながら、私はそっとそれを胸に抱いた。
 こうしてこれからも、私たちは危うい恋をしていく。

[ 完 ]

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