「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
全9回
2018年04月07日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情ルート前提 !!

視点:グレオニー
友情出演:フェルツ
特別出演:手袋


今回のSSの検証というか、好奇心でやってみたんですが、
※二次創作はファンタジーなので実際には不可能な状況・設定とかでも問題ないと思ってます。というか、いつもは検証プレイなんて全くしてないです。愛と妄想力だけが友達です。

9回も行けるとは思わなかった


正直、こんなに行けるとは思ってなかった。

今までグレオニー攻略にほとんど市を使ってなかったんですが(単純に、グレオニーのケツを追うのに必死+効率的な攻略とか考えてないだけです)、意外と行けるもんですな。
初回、うっかりトッズを出してしまって、最初からやり直したなんてそんなことはないです。
言わずもがなですが、全部グレオニーに手袋を叩きつけてます。
手袋でグレオニーが見えない。
むしろ手袋がグレオニー。
行けない週は大体グレオニー絡みのイベントが発生するせいです。
舞踏会だけじゃなく、市まで殺す男。それがグレオニー・サリダ=ルクエス。
今回は、印象度も好感度もうまくふれたので(と言いつつ、やはり終盤はレハト様は行き場を失った感情を持て余してました)、最終日を友達口調で迎えられましたー!!



今、ふと我に返りましたが、イベントがグレオニーばっかりで気持ち悪いですね。

拍手ありがとうございます。
10周年記念に備えて書き溜めたい気持ちだけはあります。気持ちだけな。





 袋 と 寵 愛 者 と グ レ オ ニ ー

 一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ。
 机にひとつひとつ手袋を並べて、俺は小さく唸った。
 どうしたもんかな、これ。手袋自体は替えがたくさんあっても困るものじゃないけど、問題は手袋の数じゃない。
「まだ悩んでたのか」
 部屋に戻ってきたフェルツが呆れたように言う。
 そうは言ってもな。俺と同じ立場に置かれればフェルツだって悩むと思う。
「市のたび、だぞ?」
「素直にもらっとけば良いだろ。腐るもんじゃなし」
「だけどな」
 そりゃ、これが河原で拾ったちょっと珍しそうな石だったら――それはそれで別な意味で困った気もしないでもないけど――礼を言って受け取るだけで済ませられるけど、手袋はタダじゃないんだぞ。しかも俺が買うのより上等なやつだし。
 第一、どういう意味で渡してくるのかも分からないんだよな。悪意とか敵意がある感じはしないけど、俺はどちらかと言うと鈍感だから確証はない。
「なあ、手袋を贈ることに何か意味があるのか?」
「特にないんじゃないか? 香炉じゃあるまいし、手袋は手袋だろ」
「だよな」
 じゃあなんだ、なんなんだ、なんなんですか、レハト様。
 休日が来ると必ず訓練場に顔出して剣の腕を研いているレハト様御本人の方が必要だろ、絶対。
 待てよ。まさかとは思うけど、もしかして。
「……果たし状の代わりか」
「は?」
「ほら、熱心に鍛練してるだろ? 強くなったらお前なんかぶっ倒してやる、みたいな」
「お前、寵愛者様に恨まれるようなことしたのか?」
「初対面でいきなりタメ口利いた」
「あー……」
 思い出したらしくフェルツが苦笑する。
 我ながらどうかしてたと思う。あんなにおでこ全開で選定印が輝きまくってる相手を新入りと間違えるなんて、普通有り得ない。
 でも、その有り得ないをやらかしたんだよなぁ。
「その件は許してもらえたんじゃなかったか?」
「一応、建前上は」
 タメ口利いただけにとどまらず、頼っても良いとか失礼極まりない発言を重ねた俺を、レハト様はすんなりと許してくれたどころか、前のままでいい、なんて優しい言葉をかけて下さった――んだけど、後になって改めて思い返したら腹が立ったのかもしれない。
 本当もう、レハト様に恨まれるとしたらそれくらいしか思い付かない。
 もっとも俺が思い至らないだけで、余罪が色々ある可能性は否定出来ないけど。
「そんな感じで渡されるのか?」
「いや、全然」
「だったら違うんじゃないか?」
「でも俺が鈍感で気付いてないだけかもしれないだろ?」
「……自覚あったのか」
 さすがにある。
 と言うより、あんな大ヘマかましておいて、違うなんて口が裂けても言えない。
 本当にただの好意なのか? レハト様の故郷では何か意味ある行為だったりしないか?
 果たし状じゃないなら、お前弱いんだからもっと鍛練しろってことかもしれない。それが一番しっくり来る。御前試合の観戦にお誘いしたくせに結果は散々だったし。あれ見たら、発破の一つや二つかけたくなると思う。
 普段はもう少しマシなんだけど、試合になると、どうもうまくいかないんだよなあ。
「お前は妙なところで真面目だよな」
「そういうわけじゃ」
「お前のことだから、一方的にもらい続けるのが気になってるんだろ。それなら何かお返しするのはどうだ?」
「お返しか……」
 簡単に言うけどな、あの手袋のお礼として見あった価格で、且つレハト様のお気に召すものとなると、完全に俺の給料じゃ歯が立たない予感がする。
 そもそも、レハト様のお気に召すものなんて知らないんだよな。変なもの渡して却って揉めるのも嫌だし。
 何がお好きなんだ、レハト様は。
 市のない日はよく訓練場にいらっしゃるから、ちょっとした話はするけど、深い話はしたことがないし、市の日は市の日で、今日も熱心に鍛練してるな、と思ったらおもむろに俺に手袋を渡してすぐ逃げるようにいなくなっちゃうんだよな。偶に、手袋以外の物も下さったりするけど。
 もしかして、怖がられてるのか、俺。それで御機嫌取りに手袋を渡してくるんじゃないよな。
「グレオニー、何かまた意味の分からん結論を導きだそうとしてないか」
「俺、強面か?」
「やっぱり意味不明なこと考えてたな。とりあえずお前は強面じゃない。まあ、背があるから、人によっては多少威圧感を感じるかもしれないけど」
「やっぱりそうか」
 知らず知らずのうちにレハト様を怖がらせてたんだな。レハト様は小柄だからそれも仕方ないか。
 今度レハト様がいらっしゃったら、少し屈んで接してみよう。
「……何となくだけど、俺の話を曲解したことだけは分かった」
「え、何がだ?」
「屈んで無害な人間アピールする気だろ」
 なんでわかったんだ、フェルツ。
 フェルツは俺と違って勘が良い方だけど、それにしたって当たり過ぎじゃないか? もしかして、うっかり口に出してたのか。
 うわ、それは恥ずかしい。
「寵愛者様がお前を嫌ってないのも怖がってないのも保証してやるから、いつも通りにしてろ。突然態度が変わる方がショック受けるぞ」
「でもなぁ」
 渋る俺に、フェルツは溜め息を隠さない。
 そんな反応されても俺も困る。だって今のままじゃ、気軽に何がお好きか聞けそうも――そうだ。
「フェルツ」
「待て、先を言うな」
「俺の代わりにお前が聞いてくれ」
 再びフェルツの口から重い溜め息が漏れた。
 なんで溜め息付くんだよ。ものすごい名案だろ。
 何度かフェルツと話し込んでいるのを見掛けたことがある。つまり、フェルツならレハト様と突っ込んだ話も出来るってことだ。
 我ながら今日は冴えてる。むしろ、なんで今日この時この瞬間まで思い付かなかったのか不思議なくらい、誰に聞かせても太鼓判を押すに決まってる最善の方法だ。
 でも肝心のフェルツが渋い顔なままなのはちょっと気になる。
「なんだよ、前にレハト様と話してたろ」
「まあな」
「……もしかして本当はレハト様のことが嫌いなのか?」
「いや、そうじゃなくて」
「じゃあ好きなんだろ?」
「勝手に選択肢を二択にするな」
 フェルツが三度目の溜め息を吐く。
 今日はやけに溜め息が多いな。疲れてるのか? それとも何か悩みでもあるのか? もしそうなら放ってなんておけない。
「俺の話ばっかりして気付かなくてすまん。悩みがあるなら相談に乗らせてくれ」「は?」
「気付いてないのか? さっきから溜め息ばっかりだぞ」
「誰のせいだ、誰の」
「え?」
 フェルツの呟きが聞き取れず、思わず首を傾げると、フェルツはひらひらと片手を振った。
「何でもない。要はあれだな、寵愛者様を捕まえられたら話は済むんだな」
「そういうことに、なるか? なあ、フェルツ、悩みがあるなら俺に」
「ないから安心しろ」
 本当か? フェルツは俺と違ってあまり感情を顔に出さない。だからこそ心配なんだが、もしかして俺には話せないことなのか。
 俺に話せないような悩みってなんだ。金、とか? そりゃ、大金は無理でも、俺だって多少なら用立てられるぞ。親友のためなら尚更だ。じゃなかったら、女性関係とかか。さすがにそっちは俺じゃまるで役に立たない。別に女性経験がないわけじゃないけど、お世辞にも多いとは言えないし、そういうのは第三者が口を出すと拗れるって聞くし。あ、もしかしたら職場の人間関係で悩んでるのか。俺を巻き込むまいとして口を噤んでるのかもしれない。
 これはなかなか良い線いってるんじゃないか?
「フェルツ」
「本当に本気で悩んでないから」
「でも」
「強いて言うなら、どうやったらグレオニーが直接寵愛者様を捕まえられるか悩んでる。だからお前も真面目に考えろ」
「お、おう、分かった」
 あくまでフェルツが話を反らすなら、俺もそれに付き合おう。いつかフェルツ自身が話してくれるまで、見守るのが俺に出来る唯一のことだ。
 そこで思考をレハト様に切り替える。
 捕まえる、なんて御大層な話じゃないんだけどな。ただ、ちょっと話が出来ればいいんだ。でも、レハト様が図体のデカい俺を怖がってる以上、本音なんて引き出せないだろう。自慢じゃないが、体格だけは良いんだよな、俺。
「普通に手袋もらう時に手でも掴めば良いんじゃないか」
「折れたらどうするんだ」
 レハト様はまだ子どもだし、それを差し引いても見るからに線が細いというか、華奢だ。俺が掴んだら骨が折れるかもしれない。折れるだけならまだしも、粉々になったらと思うと――怖い怖い怖い!!
「冷静に考えろ。人の骨はそんなに簡単には折れない」
「折れるかもしれないだろ!?」
「可能性だけで論じるな、馬鹿!!」
「可能性が否定出来ない以上、俺には無理だ!!」
「加減すれば良いだろ!!」
「俺が咄嗟にそんなこと出来ると思うか!?」
 俺の心からの指摘に、フェルツが口を開いて閉じる。
 ほら、みろ。無理じゃないか。そんな器用な真似が出来る俺じゃないんだからな。
「というわけで、頼むな、フェルツ」
「待て待て待て。仮に寵愛者様の好みが分かったとして、どうやって渡す気なんだ?」
「え?」
 どうやって、って、そりゃあ、レハト様を威圧しないように身を屈めて視線を合わせ、いつも手袋を下さるお礼ですとか何とか言ってさりげなく且つ爽やかに、何気無い感じでだな。
 ん? 待てよ。俺が渡すんだよな。
 そうだ、俺が渡すんだ。
「格好悪いところをお見せしないように、言い方とか動作とかの練習が必要だな!!」
「違う!! その前に、自力で捕まえられない寵愛者様に、どうやって渡す気なんだって話だ!!」
 言われてやっと気付く。
 フェルツの言う通りだ。俺はレハト様に触れることが出来ない。つまり、レハト様を引き留めるためには、他の手段が必要なわけで。
 声をかけたら止まって下さるだろうか。いや、もしかしたら俺に因縁をつけられると思って逃げてしまうかもしれない。手を掴むと折れるしな。そうだ、紙に書くのはどうだ? ああ、駄目だ。俺の悪筆でレハト様を困惑させてしまう。
 で、すぐには思い付く方法と言えば。
「フェルツ」
「断る」
「まだ何も言ってないだろ」
「どうせ、フェルツから渡してくれって言うつもりだろ」
 なぜバレた。
 でもそれが一番じゃないか? 一言、グレオニーからです、って添えてくれたら済む話だし。
 いや、待てよ。もしレハト様がフェルツに対して一方ならぬ思いを抱いていたら?
 俺には必要以上に近付かないけど、フェルツとは楽しそうに話してるもんな。可能性はゼロじゃないぞ。だとしたら、糠喜びさせるのはまずい。レハト様を無意味に傷付けてしまう。
「おい、グレオニー」
 もしも傷付いたレハト様が非行に走ってしまったら。
 言葉遣いが悪くなったり、酒に溺れたり、性質の悪い男と駆け落ちしたりとか。
 くそっ、俺はどうしたら……!!
「おい、雨男」
 そうなると、最初から作戦を立て直すことになるよな。フェルツに好みを聞かれた段階で誤解が発生するだろうし。
 フェルツが駄目ならハイラはどうだ?、と一瞬顔を思い浮かべ、すぐに掻き消した。あいつだけは有り得ないだろ。レハト様とは仲がよろしくないみたいだから、警戒されるだけだ、絶対。
「グレオニー!!」
「な、なんだよ、急にデカい声出して。びっくりするだろ」
「お前が自分の世界に入って反応しないからだろ」
「仕方ないだろ。最初から作戦を練り直さないといけないんだから」
「……まあ、自力で何とかする気になったなら良いけどな」
 レハト様を捕まえる方法、レハト様を捕まえる方法。
 罠とかは危ないよな。
 待てよ。手首を掴むと折れるから駄目だってことは、もっと太くて折れにくそうな部分、もしくはまるごと掴んだら良いんじゃないか?
 つまり、レハト様をまるごと捕まえたら良いんだな!! これならレハト様が勘違いなさることもないし、俺が怪我をさせることもない。
 他に方法なんてない、とか決めつけずに考えてみるもんだな。
 よし、じゃあ次にお会いしたら早速実行してみよう。

[ 完 ]