「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
グレオニーの需給を等価交換
2017年06月17日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情ED前提 !!

視点:フェルツ
友情出演:ハイラ
レハト様おしゃべりするですよ。
ぐれおにー きもい


よく考えたらグレオニーは私なのに一体誰と等価交換する気なんだ。
※2017年2月24日の記事参照

まあ、なんでもいいか。
とりあえず全国に散らばる私よ、聞こえますか。
私に私を提供するのです。
あ、二つ目の私は私と書いてグレオニーと読むのであっていや別に一つ目の私もグレオニーと読んでも構わないけど何が言いたいんだか分からないと思うが私にも分からない(゜-゜)
ただひとつ、分かっているのは

ぐれおにー ください。

そういうことだ。
貢がれる準備は出来ているから、ほら。ね?

分かるよね?

ね?

拍手ありがとうございます、別の世界に住む私。
お返事は次回以降ですすみませんorz





 行 練 習

 力を貸して欲しい。

 やけに真剣な顔付きのグレオニーにそう言われ、一も二もなく請け負ったことを俺は今現在激しく全力で後悔していた。
 時刻は夜。二人きりの部屋。
 うっすら顔を赤らめたグレオニーが深く息を吸う。
「俺と、け、け……けっ、けっこ、結婚して、くくだ下さい」
 また噛みやがった。
 もはや溜め息すら出ない。一体いつになったら噛まずに言えるようになるんだ。それとも数回の練習で済むと踏んで引き受けた俺が浅はかだったんだろうか。
 でもなあ、練習し始めてかれこれ半月になるんだぞ。半月もあればどんな馬鹿だって、結婚して下さい、くらいすらすら言えるようになると思うだろ。
 毎日毎日一向に上達しない台詞を聞かされる俺の身にもなれ。
 でも、俺がこの進歩のない練習から解放されたいのは、付き合うのに疲れてきたってだけの理由じゃない。
「なあ、グレオニー、やっぱり俺を練習台にするのはもうやめよう。というか、俺じゃなくても他にいるだろ」
「他って誰だよ」
「だから、それは……」
 あ、いない、いないな。
 ハイラは論外だし、他に二人の仲を応援してる連中にしても五十歩百歩だ。密かに求婚の練習に明け暮れてるのが、あっという間にとうの本人に知られるに決まってる。
 だからこそ俺を選んだのか。グレオニーにしては頭使ったな。
 とは思うものの、すぐに諦められないのは、ある懸念があるせいだ。
「もし寵愛者様に見られて、誤解されたらどうするんだ」
「誤解って……男同士だぞ? どう誤解するって言うんだよ」
 そう言ってグレオニーは笑うけどな、それはあくまで相手が普通の感覚だった場合だ。
 そして少なくとも俺が知ってる寵愛者様は普通とは言い難い。なんと言うか、その、つまり、あー、だから――そう、発想があまりにも柔軟過ぎるんだ。
 何しろ、グレオニーが無事寵愛者様に告白し、相思相愛が判明したその日に、
「グレオニーとフェルツって、あんまり仲が良いから付き合ってるのかと思ってた」
 なんて言いに来たんだぞ、あの人。
 さすがにあの時は言葉を失った。
 俺とグレオニー。有り得ない、有り得なさ過ぎる。誤解するにしても、相手は少なくとも女性であって欲しい。
 我に返って咄嗟に、おめでとうございます、とまるで会話になってない返事をしてしまったのは完全に動揺していたせいだ。まあ、寵愛者様が、ありがとう、と嬉しそうに城に駆け戻って行ったところを見るとその辺は気付かれなかったみたいだけどな。
 親友だし、仲が良いのは認めるけど、何をどうしたらああいう発想になるんだ……。斜め上過ぎて怖い。存在そのものが人知を超えているとは言え、超える方向がおかしいだろう。
「そうだ、場所!! 場所も大事だよな!?」
「あー、まあ一般的にはそうかもな」
 あくまで一般的にはな。
 そもそも寵愛者様を一般的の範疇に収めて良いかどうか、俺は知らない。特に、グレオニーに関して寵愛者様がぶっ飛んだ発想の持ち主だなんてことは俺は知らない。知らないことにする。
「やっぱり、見晴らしの良い景色の綺麗なところがレハト様の姿がより映えて良いよな?」
 ん? 求婚場所ってそういう理由で選ぶもんだったか? 普通は、相手が思わず了承したくなるような雰囲気のある場所、とかじゃないのか? なんでお前は、寵愛者様がより美しく見える場所――つまり、自分の視覚的に美味しいかどうかを基準に選んでるんだ。意味が分からん。
 思わず遠くを見つめている間にも、眉間に皴を寄せたグレオニーは求婚場所についてあれこれ思考を巡らせている。
「景色の良い場所って言うと、屋上……あーでも風が強くて、レハト様の髪が絡むと困るよな。森の中は虫が出るから却下。じゃあ湖の畔とか。待てよ、別に城に拘らなくても。ああでも、城外だと漏れなく護衛付きだよなそうだよなあ……あ! 星空! 星空はどうだ!? 満天の星が輝く中、レハト様も美しく輝く…………ああー、駄目だ、それだとレハト様が顔を赤められた瞬間が良く見えないだろ!!」
 グレオニーが頭を抱え、髪をぐしゃぐしゃに掻きまわす。
 寵愛者様のために最善を尽くそうとしているのは伝わってくるけど、方向性あってるか、それで。なんかずれてる気がする。
 とりあえず俺は黙った。
 単純に疲れたせいだ。とりあえず寝たい。もういっそ寵愛者様に、何でも良いから一日も早くグレオニーに逆求婚して下さい、と直談判した方が早いような気さえして来る程度には疲労が溜まっている。主に精神的に。
 さすがにそれはグレオニーの努力を無駄にすることになるから実行はしない――つもりだけど、時間の問題かもしれない。
「なあ、フェルツ」
「今度は何だよ」
「やっぱり求婚する時は、こう片膝付いて手を取った方が良いのか?」
「…………」
 俺が閉口したのは、何も返事に困ったからじゃない。グレオニーが実際に実行したせいだ。
 予行練習だからって気軽に俺で試すな、この馬鹿。そこまで付き合うとは言ってないし、やって良いなんて許可も出してないぞ。
 片膝をつき、俺の手を取ったまま、真剣な目で見上げてくるグレオニーに溜め息しか出ない。
 大体、良いも悪いも時と場合と相手による。グレオニーは気付いちゃないが、あの寵愛者様ならグレオニーがどんなヘマをしようが格好悪かろうが、二つ返事で承諾するだろう。 ここまで寵愛者様の気持ちが伝わらないとは、グレオニーの鈍感力もある意味すごいな。絶対に長所ではないけど。
「あのな、グレオニー」
「レハト様の左手を取るんだから、俺は右手で……あれ、どっちの膝をつくのが正解だ?」
 なんだ、そのしょうもない疑問。そんなのつきやすい方というか、やり易い方でいいだろ。どっちの膝が正解とか、聞いたことないぞ。そもそも、そんな求婚を実践してる男なんているのか。まあ、ノースタスさんあたりはやりそうだけど。
 難しい顔でグレオニーが膝を入れ替えた瞬間、ドアが鳴った。
「グレちゃん、入るよ。寵愛者様がグレちゃんに用事だっ……て……」
「ちょ、待っ」
 俺の静止は間に合わなかった。
「…………」
「…………」
「…………」
 現実は非情だ。
 返事を待たずに扉を開けたハイラも、その後ろにいた寵愛者様も、俺も、グレオニーも、居合わせた全員が凍り付いたように動きを止めた。
 つまり現在進行形でグレオニーは膝まづいて恭しく俺の手を取ったままなわけで。
 誰よりも先に我に返り、慌てて飛び退いたけど時すでに遅し。
 視線を俺たちに釘付けにしたまま、寵愛者様の眉間にしわが寄り、握りしめた拳が震える。微塵も空気を読まないグレオニーが嬉しそうに寵愛者様に近付く。
「グレオニーの……」
「レハト様、どうしたんですか。こんな時間に。一人で出歩いたりしたら危ないですよ。俺に用があるんでしたら、お部屋に呼んで下されば良かったのに」
「……グレオニーの…………」
 グレオニーの豪快に的外れな台詞が、まるでこの場を誤魔化そうとしているようにも聞こえる。というより、確実に寵愛者様にはそう受け取られてるな、これは。
 面倒くさいことになった。俺の人生において、一番面倒くさいことになった。
「レハト様? すみません、良く聞こえな」
「グレオニーの浮気者!!」
「え……え!? 浮気!? なにが浮気で、え、え!? ま、待って下さい、レハト様!!」
 泣きながら飛び出した寵愛者様を、グレオニーが意図的に邪魔な位置にいるとしか思えないハイラを押しのけて慌てて追いかける。こういう時くらい避けてやれよ、たまには。
 あの感じだと途中で上手く追い付けそうだけど、追い付けたところで誤解を解くのは難しいだろうな。何しろ敵はあの寵愛者様だ。
 遠くの方から微かに、
「近寄らないで!! グレオニーの馬鹿!!」
 と叫ぶ寵愛者様の声がする。
 そうなるとは思った。ああ、頭が痛い……。
「で、何してたの、二人で。まさか本当に浮気?」
「馬鹿言え。グレオニーの求婚練習に付き合ってやってただけ」
「あー、なるほどね。それでああいうことになってたわけか。人が珍しく親切心で連れて来てあげたってのに、グレちゃんってつくづく間が悪いよね」
 同情してるのは言葉だけで、ハイラは楽しげににやにやしている。
 いいよな、お前は。完全なる第三者だもんな。俺だって本来なら同じ立場だったはずなのに。
 ああもう、グレオニーが間が悪いのは自他共に認めるところだろうけど、頼むからそれに俺を巻き込まないでくれ!!

[ 完 ]
※後日、後日談があります。