「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
無事帰還
2016年10月22日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情verAED前提 !!

視点:グレオニー
レハト様の職業はなんでも影響ないはずなのでご想像にお任せします。


鼠(♂)と鼠(♀)の王国に興味ねぇよ、って方はそっとスルーするか温かい眼差しで見守るかでお願いします。

というわけで、行ってきました。
そして、

シャボン玉に包まれるジャファー様

このようにとても夢と魔法と冒険とイマジネーションに満ちたメルヘンチック★な写真を撮ったりしてました。
※レベル補正以外の補正は一切施しておりません。
この旅はこの写真を撮るためにあったんだ、と思わざるを得ない。
空気を読んだシャボン玉が顔だけは避けて浮かんでるのが神がかってる。
残念ながらグリーティングは出来ませんでしたが(というか、時間がなかった。全然なかった。4日間もいたのにどうしてこうなった)、これが撮れたのだから良いのです。
いつか、この写真を印刷してサインを貰いに行ったら、ジャファー様は私を殴るだろうか……。
でも、デジタルズーム使ったんで印刷に適しない画質なんだよなー。
ジャファー様にとっては不幸中の幸いかもしれんですが。


拍手ありがとうございます。
ゴール(グレオニーの故郷)まで、あとちょっと。





 郷 ( 5 )

 その後は何事もなく夕食を済ませ、レハト様とおやすみを言い合って寝台に入り、うつらうつらし始めた頃、不意に隣から明らかにがそごそと音がするのに気付いて目を開けた。
 まさかとは思うけど、こっそり外出する気じゃないよな。だとしたらなんとしても止めないと。
 扉を開ける音がしたらすぐさま飛び出せるよう身構える。
 安全な街に見えても、レハト様みたいな綺麗な女性にとって夜の街がどんなに危ないか、きっと分かってない。路地裏に連れ込まれたり、飲酒を強要されたり、それはもう大変な目にあうに決まってる。俺が側にいても、通りすがりの男共にちらちら見られてるのに、一人なんて攫って下さいって言ってるようなもんだ。
 静かに上掛けが動く気配がする。
 と言ってもレハト様のじゃなくて俺のなんだけど。
 なんでだ? 寝ぼけて寝台間違ったのか?
 それも変な話だよな。別にどこかに行って戻ってきたわけでもないんだから。ひょっとして、俺が寝てるかどうか確認してるのか?
 内心首を傾げている間に、体に自分のものではない温もりが触れ、文字通り俺は飛び上がった。
「レ、レハ、レハト様!?」
「しっ、静かに。他の人に迷惑がかかるから」
 柔らかな掌に口を塞がれる。
 えーと、それ以前になぜ俺はレハト様の下になってるんでしょうか。
 あの一瞬で何がどうなってこういう体勢になったんだかさっぱり分からない。分からないが、とりあえず、レハト様には退いていただかないと。これは色んな意味で不味い、不味すぎる。寝込みを襲われてるのは明らかに俺の方だけど、これをどこかから見ている人が絶対にいるわけで。個人的にとてつもなく美味しい状況で残念なんだけど――ってこの状況で何を考えてるんだ、俺は。落ち着け、落ち着け。
 俺が声を出さないと踏んだのか、レハト様はそっと掌を外してくれた。
「グレオニーが起きてるとは思わなかった」
「す、すみません。えーと……まずは降りてもらっても良いですか?」
 頷いたレハト様は素直に移動し、寝台の上に座った。
 よ、良かった。あのままじゃどうしたって冷静に話し合いなんて出来ないからな。
 レハト様が正座している中で俺だけが足を崩すわけにはいかず、俺もレハト様に習って膝を揃えた。
 どう見ても変な状況だけど仕方ない。
「レハト様らしくないですよ。どうして急にこんなこと」
「グレオニー、何もしないから」
「な、何もって……で、でもほら、まだ婚約中で結婚前ですし」
「だってハイラが」
「ハイラが!?」
 やっぱり妙なことを吹き込んでるんじゃないか!! 何も言ってないとか飄々と嘘つきやがって!!
 絶対に許さん。ハイラへの土産は、貰ったら困るような無駄に大きい木彫りの熊とかにしてやる。いや、待てよ、それを持って帰るのは俺か。でもな、それが一番ハイラに対する嫌がらせになると思うんだよな。持ち帰る苦労を思うと躊躇うけど。
 まあ、ハイラへの最高の手土産はおいおい考えるとして、今はそれはちょっと置いておこう。
「ハイラが、何を言ったんですか?」
「ハイラが……グレオニーが故郷に初恋の人がいて、その人に会うために帰るんだって」
「た、確かに故郷に初恋の相手はいます。いますけど、それがどうしてこういうことに」
「既成事実作っておけば大丈夫、ってハイラが」
 またハイラ……。
 普段は滅多に口もきかないのに、なんでこういう時だけ話をした上にすぐ信じちゃうんですか、レハト様。
 ああでもまずは事実をありのままに伝えることが先決だ。
「あの、その人、すぐ上の兄の奥さんになってるんですが……」
「お兄さんの奥さんを寝とろうとしてるの?」
「違います!! 大体、初恋と言うより憧れに近い人ですから」
 納得してくれるもんだと思ったのに、予想外の角度から反応されて本当に焦った。
 そもそもにおいて、兄貴の奥さんを寝とろうと思ったら、どっちかが倒れるか、戦えなくなるまで決着が付かない真剣勝負になる。まあ、今なら負ける気はしない――いや、そもそも寝とるつもりもないけど。俺にはレハト様がいるし。あ、これだとレハト様がいなかったら寝とるみたいだな。
 なんてどうでも良いことを考えてる場合じゃなかった。
 レハト様がじっと俺を見ている。きっと俺の言葉に嘘がないか観察してるんだろう。邪念は捨てないと。
 俺はレハト様一筋です。
 神に誓ってレハト様一筋です。
「……おやすみなさい」
 暫くするとレハト様は寝台からゆっくり降り、短い挨拶と綺麗なお辞儀をしてご自分の寝台に潜り込んだ。頭から爪先まで上掛けですっぽり覆われている。
「え? レ、レハト様?」
「…………」
 疑いは晴れたのか? それとも、やっぱり信じられないってことか?
 どっちだ、どっちなんだ。
 このまま有耶無耶にされると眠れそうもなくて、殆んど布の塊と化しているレハト様に声を掛ける。
「あの、レハト様? どうされたんですか?」
「変な勘違いして恥ずかしいの、すごく恥ずかしいの!! それに疑われてグレオニー怒ってるでしょ!?」
 だから放っておいて!!、とレハト様は俺を拒む。
 これはつまり、俺の潔白を信じてくれたと取っていいよな。ああ、良かった。
「えーと、俺、別に怒ってませんよ」
「嘘」
「本当です」
「じゃあ呆れてる?」
「それもないです。レハト様可愛いな、とは思いましたけど」
「グレオニー、それ頭おかしい」
「今、ちょっと腹が立ちました」
「……ごめんなさい」
「嘘ですよ。怒ってないし、呆れてないし、腹も立ててません」
 事実、俺はレハト様に対して少しもそんなことを思っていない。
 誤解が解けて安心したのが五割、ヤキモチを妬いたレハト様が可愛いと思ったのが四割。残り一割はハイラへの腹立たしさだ。
 なんでこう、いつもいつもろくでもない情報ばっかり流すんだ。
「じゃあ、そっち行って良い?」
 そっち? そっちってもしかしなくても俺の寝台のことだよな。それは不味くないか? 具体的に何がどう不味いのかはさておき。でも折角誤解が解けたのに、断って、また変な誤解をされるのも困る。
 つまり、誤解されて良いか悪いかの二択だよな。
「……良いですよ」
「グレオニー、今迷った」
「そ、そんなことないです! 気のせいですよ、気のせい! さあ、どうぞ!!」
 寝台の脇に突っ立ったまま勢い良く上掛けを捲ると、そこに何の疑いも迷いもなくレハト様が移動して来る。
 ここまで来て、俺がレハト様の寝台で寝るとか、床で寝るとか、そういう選択肢は――ないよな、絶対。
「グレオニー?」
「は、はい」
「寝ないの?」
「ね、寝ます寝ます、寝ますよ」
 不思議そうに見上げてくるレハト様の隣に、レハト様とは距離を取って横になる。何事にも適切な距離があるよな。だからこの隙間は必要不可欠な空間なわけだ。なんて内心で己の小心さを弁解していると、レハト様がぴたりと身を寄せて来た。
 レ、レハト様ー!?
「おやすみ、グレオニー」
 ふと顔を覗かせた邪な自分自身と戦うのに忙しく、返事をする余裕なんてなかった。

[ まだ続く ]