「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
1月分の更新ぶっ飛ばすところだった。
2016年01月23日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情verAED前提 !!

視点:グレオニー
色々グレオニーに関するイベントのネタバレがあるので、未プレイの方は要注意。
!! 今回、ゲーム本編での裏切EDの台詞がしれっと出てきます !!
レハト様の職業はなんでも影響ないのでご想像にお任せします。


さあ、非常にどうでもいい長丁場がやってまいりました。

どこかで2分割出来ないものかと思ったけど敵は強かったのだぜ。
クソッ、私の水増し大作戦が。

ところで、皆さん。
某所でかもかてチャット会なるものが開催されるそうなので、私も顔を出そうと思っています。
誰もいないであろう時間帯に。
別に無人のタイミングを狙っているのではなく、ただ単に、恐らく多くの方が集まって盛り上がってる時間帯に私は寝ていると思われるためです(・ω・)<睡眠大事
なので必然的にほぼほぼ無人の時に独り言を呟いて去るだけになるかと。
グレオニーが好きだからああああぁぁぁぁぁぁ!!、とか何とか叫んで帰ります。
優しい目で見守って下さい。


拍手ありがとうございます。
グレオニーどっかに落ちてたら教えてください。いやホントに。





 路 ( 3 )

 篭り明け直後、何度申し入れてもかわされてきた俺の願いは意外にもあっさりと受け入れられた。
 理由は何であれ、レハト様が俺に対して後ろめたさを感じているなら、簡単には会って下さらないはずだ、とどこか高を括っていた自分がいて。
 でもレハト様は俺と会うと言う。
 つまり今のレハト様にとって俺は過去に一時好意を持った相手ってだけで、今でも思い悩んでるのは俺一人だけで。レハト様は俺にどんな気持ちも残して下さってないって、そういうことだよな。
 望み通りレハト様にお会い出来ることになったにも関わらず、俺が感じたのは紛れもない絶望だった。
 仕事に未練があったわけじゃない。
 仲間に未練があったわけじゃない。
 俺が未練があるのは、ただ一人、レハト様だけだ。
 実際にお会いしなければ、何も知らない振りをして、レハト様が男性を選んだなんてのはただの噂に過ぎないと、自分を騙していられるけど、会ってしまえばそうもいかない。どうやら俺の本心は少しでも真相を知らないままでいる期間を長引かせたかったらしい、とここに来て漸く気付く。
 レハト様の私室は以前とさほど変わらなかった。少し色合いが明るくなっただろうか。でもその程度だ。 
「久しぶり、グレオニー」
「お、お久しぶりです」
「えーと……なかなか時間作れなくて。その、ごめん」
「あ……の、その」
 覚悟はしてきたつもりだったのに、俺は正面からレハト様の顔を見ることが出来なかった。
 だから俺の視界には床と、レハト様の靴だけが映っている。
 先端が丸みを帯びた、装飾の少ない靴。控えめだけど優しい色をしている。足の甲の上にひらひらと折り重なった布が、風で時折揺れている。
 珍しい御召し物だな。随分女性的な気がしないでもないけど、貴族の間ではこういうのが流行ってるのかもしれない。
 そこから感じた微かな違和感に内心首を捻りつつ、それでも言うべき事は言ってしまおう、と無理に乾いた口を開いた。
「レハト様が、男を選んだって聞いて。だから。ええと。そういえば、俺、護衛の話はしたけれど、それ以外の話……してないこと、今思い出して。だ、だからレハト様が男選んでもおかしくない……ですよね」
「グレオニー、何言って」
「ないんだ……。はは。そりゃ……そうだ。勝手に伝わってるつもりになってた。馬鹿だ、俺……」
 目尻に浮かんだ涙が自分の情けなさを助長する。
 ああ、駄目だ。こんな言い方、駄目だ。レハト様に迷惑しか掛けないだろ。
 本当に何やってんだ、俺。
 己の情けなさにますます泣きたい気持ちになっていると、不意に耳のすぐ側で派手な音が響き、両頬に痛みが走った。
「え、あ……な、何が起きて」
「グレオニーの馬鹿!! ちゃんとこっち見ろ!! み、見ても良く分かんないかもしれないけど……とにかく、よく見ろ!! というか、感じろ!!」
 は、はい?
 見ろ? 感じろ? 何を?
 とりあえずレハト様が猛烈に怒ってらっしゃることだけは良く分かる。
「噂は知ってたよ。皆、俺……私が男選んだって言ってるの、知ってた。でもそれは別にいいんだ。見た目、こんなだし、しょうがないかなって思ってた。だからそういう間違いされても全然辛くなかった。そんな奴ら、正直どうでも良かったし」
 間違い? 間違いってなんだ?
 俺の顔を挟んだままのレハト様の両手に力が篭り、強引にレハト様の方を向かされる。
 さっきまでレハト様の顔は見られない、見たくない、と思っていたはずなのに、俺はレハト様の手に誘われるまま首を動かしていた。
 子どもの頃の面影は残っているんだろうか。顔の輪郭は、目は、鼻は、眉は、口は。どんな大人になったのか、ずっと気になっていた。多分それは、レハト様が選らんだのが俺が望んだ姿じゃないと知った後でも変わらなかったんだと、今なら思える。
「でも、グレオニーに……好きな人に、そんなに簡単に心変わりする人間だと思われてたのは、すごく、悲しい」
 レハト様の唇が震え、ぽろり、と目から涙が零れ落ちた。
 それを乱暴に拭いながらまだ何か続けていたけど、俺は俺自身の思考に夢中になっていて、レハト様の唇がぱくぱく動くばかりでまるで音が入って来ない。
 レハト様は男を選んだって。
 誰も彼もがそう言っていた。
 ――小耳に挟んだところによると、大変見目の麗しい、美丈夫だとか。
 ――遠目に拝見しただけですが、背の高い、凛とした風情の、素晴らしい御容姿でしたよ。
 そう、聞いていた。
 そしてその言葉に何一つ嘘はない。それは断言出来る。レハト様の成人後のお姿は貴族の方々が誉めそやす通り、背が高く、涼やかな目元をした、素晴らしいとしか言いようのない御姿で。でも、そこかしこに子ども時代の面影が色濃く残っている。
「グレオニー?」
 目の前で細い指が左右に揺れる。
 それを認識した瞬間、夢から醒めたように音声が戻ってきた。
 えーと、なにがどうした?
 あ、ああ、そうか。俺、今、レハト様の部屋にいるんだ。そうだそうだ、今後の身の振り方についてお話ししようと思ってレハト様のお部屋をお訪ねしたら、中に入るように言われたんだ。
 ぼうっとして、一瞬自分の居場所さえ見失った。ただただレハト様の姿しか俺の目には映らなくて。
「聞いてる? グレオニー?」
「あ、す、すみません、聞いてません、聞いてませんでした」
 慌てて答えたものの、俺の返事はレハト様のお気に召すものではなかったらしく、レハト様は眉根を寄せ、上目遣いで俺を睨んだ。
 でも本当に聞いてなかった。いや、正直に答えることが正しいとは言えないのは分かってる。でも、嘘を吐いたところでどうせレハト様には分かってしまう。俺は思ってることが顔に出やすいらしく、レハト様どころか、大抵の相手には分かるみたいだけど。
 感情が顔に出てしまうということは、もしかして、俺が今考えていることもレハト様には伝わってるんだろうか。そうだとしたら、俺は。
「急に赤くなって、どうしたの、グレオニー? もしかして、具合でも悪い?」
「ち、ちがっ、違います」
「だったら」
「……レハト様、失礼致します」
 返事は待たない。
 待ってるだけの余裕もなんか欠片もないから、駄目と言われようが咎められようが、とにかく今だけは自分の思ったままに行動したくて、強引に思い切りレハト様の腕を引いた。力一杯、でもレハト様が苦しくないよう加減することだけは忘れないで抱き締める。
「グ、グレ、グレオニー!?」
 やっぱり何事もちゃんと自分の目で見ないと駄目だ。自分の目で見たものだけを信じるべきだ。
 だってレハト様はちゃんと女性じゃないか。どこからどう見たって女性じゃないか。レハト様をお見掛けして、男性を選んだ、なんて言った奴は一体レハト様のどこを見てたんだ。それとも俺を騙そうと思ってわざと嘘を触れ回ってたんだろうか。それなら頷ける。そうじゃなかったら、きっと目が悪いに違いない。
 確かにレハト様は背が伸びた。
 大人になったんだから当たり前だ。子どもの頃より縮んだなんて話、聞いたことがない。ひょっとしたら俺が知らないだけで、そう言うこともあるのかもしれないけど。
 でも俺よりずっと小さい。
 頭一つ分は軽く小さい。
 体だって俺とは全然違う。全体的に細くて華奢で骨張ったところがなくて、すらりとした指に薄そうな爪が付いている。
「レハト様、何て言うか、俺……」
「分かってる分かってる、分かってるから皆まで言うな!!」
 腕の中でもがいたかと思うと、レハト様はものすごい速さで俺の口を鼻ごと両手で塞いだ。
 さすがにこれは不味いです。死にます。
 剥がそうとしても全力で抵抗されそうで、でもとにかく鼻だけは空気が吸えるように何とかレハト様の手を下にずらした。それにも大分苦労したけど。
「グレオニー、楽しみにしてるって言ってくれたしさ。だからやっぱり一番最初にこういう、ドレスって言うか、女らしい格好見せるのはやっぱりグレオニーかな、とか思って」
「もしかして、それでずっと男性のような格好を?」
「……うん。ヴァイルはそういうの全然気にしないし。まさか男装通り越して男だと思われるとは思ってなかったけど」
「今日、初めてドレスをお召しになったんですか?」
「ま、まあ、そういうことになる、けど……ああもう、本当似合ってなくてごめん。がっかりし」
「すごく良くお似合いです」
「お世辞は良い」
「お世辞じゃありません。俺がお世辞とか言えないの、知ってますよね」
 レハト様はどこか居心地悪そうに小さく頷いた。
 確かに遠目にちらっとしか見てなければ、男だと思うかもしれない。でもそれは誰にだって言える話だ。遠くから一瞬見えただけの相手の性別を正確に判じられる人間の方が少ないと思う。服なんて結構あてにならないし。俺だって昔、ちらっと見ただけで神官様は女性だと思い込んでたことがある。
 だからそういう勘違いをした人を責める事なんて出来ない。
 出来ないけど、確かめもせずに吹聴するのはどうなんだ。
 おまけに、レハト様は男を選んだ、なんて噂を皆が信じて受け入れて――あ、いや、俺もうっかり信じちゃったクチなんだけど、それはちょっと棚に上げておく――、レハト様は傷付かれたんじゃないのか?
「……なんか、腹が立ってきました」
「え、誰に? というか、なんで?」
「レハト様はこんなに素敵な女性なのに、男性を選んだ、なんて根も葉もない噂を流した奴にです」
「す、素敵? 俺……じゃなかった、私が?」
「はい」
「いやいやいやいやいや、ちょっと待ってグレオニー!! 私、素敵じゃないって!! 背も高いし、体も全然女らしくないし、男と間違われても当然」
「どこがですか!! レハト様はどこからどう見ても、女性です!!」
「え、え!? 目、目だって、ほら、まるくて可愛いって感じじゃないから!!」
「そう言われればそうですけど……」
「ほらね。男と間違われるのは仕方がないんだよ。それは自分でも納得してる。結局、喋り方だって全然直らなかったし」
 これでもユリリエに特訓してもらったんだけどな、とレハト様は少しだけ泣きそうな顔で笑う。
 ユリリエって、サナン伯爵のご令息、だよな。あの金髪の、以前ノースタスさんと交際されてたって言う。
 そうか、レハト様はご自分の口調を気にして頻繁に部屋に招いてたのか。直接話をしたことなんて片手で数える程度しかないけど、確かに、由緒正しい貴族のご令息、って感じだよな。教えを乞おうと思う気持ちは分かる。
「でも目元に色気があって良いと思います。喋り方だって、俺は全然気になりません」
「え、あ……そ、そう、ですか」
「はい」
 力強く頷いて肯定したのに、レハト様はなんだか居心地が悪そうにしている。
 誉め方、間違ったの、か?
 でも俺としては本心だし。本心だから正解って保証もないけど。ああ、こういう時に気の利いた台詞でレハト様の心を軽くしてあげられたら良いのに、本当に俺って使えない。
「……ありがと」
 これって、さっきので正解って意味でいいんだよな、きっと。間違ってるって言われたところで、俺の感想は全く変わらないけど、合ってるに越したことはない。
 それにしてもレハト様はお綺麗だ。
 もう一度抱き寄せると、今度はレハト様も俺の背中に腕を回してくれた。耳が赤くなってるところを見ると、恥ずかしいのを我慢してくれてるんだろうな。
 俺のために。
 そう、ドレスだって、口調だって、全部俺のためで。そう考えると、なんか変な笑い声が出そうになって危ない。さすがに折角仲直りというか、良い雰囲気になってるのに、ぶち壊す気はないぞ。
 でも今となっては、周囲がレハト様を男性だと勘違いしていて良かったと思う。そうじゃなかったら今頃求婚者が続出して大変な騒ぎになってたに決まってる。そう考えると、あの噂も俺の役に立ってたわけだから、少しは感謝しても良いかもしれない。本当にほんの少しだけだけど。
 って、幸福に酔ってる場合じゃなかった。いや、幸福に酔うのも良いし酔っていたいんだけど、大事なことを忘れたままじゃ駄目だ。
「俺、レハト様に伝えないといけないことがあるんです」
「え、なんだろ?」
「レハト様、俺と結婚して下さい」
「…………」
「レハト様?」
 返事がない。
 ものすごく驚いた顔をしているところをみると、聞こえなかったわけじゃなさそうだ。
 信じられない、とか? もう一度はっきり言うべきなんだろうか。
 よし、じゃあもう一度。
 と、意を決して口を開いた瞬間、思い切りレハト様が俺の胸を叩いた。ああ、やっぱりレハト様は女性だな。その証拠に全然痛くない。
「それ、今!? 今言うこと!? もっと雰囲気とか、何かそういうの大事にして言うことなんじゃないの!?」
「え、あ、で、でも、レハト様が男性を選ばれたって噂を聞いた時、ちゃんと申し込まなかったことをすごく後悔したのでこれだけは絶対言わないとと思いまして」
 同じ後悔で苦しむのは御免だ。
 折角言う機会が巡ってきたんだから、言っておかないと。
「あの、それで返事は?」
「……はい、以外の答えがあると思ってんの!? グレオニーの馬鹿、大馬鹿!! 幸せにしなかったら一生許さないから!!」

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