「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
謎しかない
2015年08月15日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情verAED前提 !!

前回の続き。正確には前々々回からの続き。
視点:ハイラ
グレオニーに出番があるようなないような。
!!注意!! レハト様、メッチャ喋るヨ★
(訳:喋らせないとどうにもならなかったorz)


鯉の力ってなんだよ。

唐突にすみません。
SSを見直してたら誤字に「鯉の力」ってあったので、つい(※正しくは「恋の力」で、公開前に修正済です)。
そもそも「鯉」という字をそんなに使わないのに、なんでそんな誤変換が出たのか意味がわからない。
なに、グレオニーに必要なものなの? 天啓なの?

と思ってググってみたところ、なんと、鯉には
胃潰瘍の抑制効果があるそうです。

そっちか、そういう実用的な意味で「鯉の力」なのか。
ハイラ、マジ博識。すごい。
そうだな、確かにグレオニーには鯉の力が必要だ。色んな意味で。
なんだろう、すごく納得した。
きっと、次から鍋の日に必ずレハト様から鯉の差し入れが届くんじゃないかな。
いや、レハト様のことだから、デートの時にそっとバスケットに鯉を忍ばせたりとかしそうだ。
どんなに生臭くたってグレオニーのためならへっちゃらなんだぜ。
グレオニーはへっちゃらじゃn……あ、気付かないか、グレオニーなら。
そんでもって可愛くラッピングとかしてあって、「これ、良かったら……」なんて言って差し出して。
「レハト様……わざわざ俺のために釣りを?」とかなんとか感激するグレオニー。
わー、これでSS一本書けそー(棒


拍手ありがとうございます。
暑くて耳から脳味噌出てきそうですイエー





 め た い 。

4:試合場にて

 迎えた御前試合当日。
 いやあ、もうね、すごいどしゃ降り。徹底的にどしゃ降り。観覧席も相当だけど、試合場もぬかるんで酷いもんだ。
 なのに寵愛者様のご機嫌は頗る良い。
 まあ、年明け後の御前試合は大概こんな天気だったし、誰かさんが優勝する時は必ず悪天候だったから気持ちは分からないでもない。分からないでもないけど、雨風に当たらないよう念入りに天幕を張ったり、大事な御体が冷えないように気を遣ったりする我々の身にもなって欲しいわけよ。誰とは言わないけどグで始まる最強雨男。
 その、今回も優勝候補の一角と目されている雨男が今現在何をしているかと言えば――逢い引き? 逢い引きで良いよね、これは。試合開始前に寵愛者様が激励に訪れると言う建前の逢い引きでしょ。だって、寵愛者様が激励するのグレちゃんだけなんだから。
「いつもわざわざ来ていただいてすみません、レハト様」
「気にしないで。……グレオニー、顔色悪くない?」
「そう、ですか? ああ、緊張しているからかもしれません。何度も出てるのに慣れないなんて、情けないですね。でも、体調が悪いわけではないので大丈夫です」
「だったら良いんだけど。怪我には気を付けてね」
「はい」
「本当に気を付けてね」
「大丈夫です」
「そんなこと言って、グレオニー、すぐに無理するから……」
「レハト様」
 来た。また来ちゃったよ。
 試合前だから、ってことで、本当なら毎日でも会いたいたくて堪らない寵愛者様が気を遣って訓練場に顔出さないようにしてから一週間ぶりに会うとは言え、いい加減にして欲しい。
 せめてもの救いは、ここは別室で他の出場者がいないことかね。あのピリピリした空気の中でこれやったら、どうなっても文句は言えないよ。誰もグレちゃんを庇ってくれないだろうし。犯人達が庇い合う可能性は大いにあるけど。
「じゃあ私、もう行くね。グレオニー、頑張って」
「はい、ありがとうございます」
 如何に寵愛者様と言えども、試合前に長居するような根性は持ち合わせてないらしく、私らが急かす前に自分から観覧席へと戻ってくれるのは非常に助かる。
 どんな時もそれだと、こちらの苦労も大分減るんだけどねえ。
 しっかりと天幕が張り巡らされた席に着くと、寵愛者様が溜め息を溢し、幾らか不安気に手を揉んだ。
 理由なんて聞かない。聞かないからね、私は。大体予想出来るし。大方、グレオニーが優勝したらますます女性に人気が出てなんたらかんたら、とか現実には有り得ない想像してんでしょうよ。
「ハイラ、グレオニーが優勝したら」
「グレちゃんの人気が急上昇するとしたら、腕の立つ護衛を探してる貴族間であって、それ以外は変わりませんよ」
「……まだ何も聞いてないんだけど」
「おや、間違った返事をお聞かせしましたかね」
「違ってないから何か腹が立つの!!」
 ほらね、合ってた。
 何と言うか、毎度毎度子どもみたいに同じことばっかり考えて、思考にまるで成長がない。いい加減グレちゃんの女性関係で何か心配するの止めれば良いのに。全くの無駄なんだから。
 非現実的な妄想にやきもきする寵愛者様を他所に雨の中でも試合はつつがなく進み、肝心のグレちゃんと言えば今回も淡々と順調に、危うげなく決勝まで勝ち上がってきていた。前のグレちゃんなら二回戦が良いとこだったのにね。恋の力だか、愛の力だか知らないけど、人間いくつになっても成長するもんだ。成長と言えば、あっちの方はどうなんだろうね。娼館にはとんと行ってないみたいだけど。
 ちなみにグレちゃんの試合の間、寵愛者様は一言も喋らない。万が一にもグレちゃんの集中を邪魔しないように、らしいけど、試合が終わるたびに一瞬見つめ合うのは、それはそれで鬱陶しいんだよね。全部終わってからにしてくれないもんか。
「決勝の相手は……」
「ああ、グレちゃんが苦手な駆け引きが上手いタイプですか」
「ちょっとハイラ、誰の味方なの」
「中立ですが」
「……貴方は今、誰に遣えてるの」
「寵愛者様ですねえ」
「だったらグレオニーの応援して」
「え? 私が? グレちゃぁん頑張ってぇん、って言えば良いんですか? グレちゃん、その場でスッ転びそうですけど、まあ、ご主人様の御命令とあらばやぶさかでは」
「心の中で応援して!! 私もそんなの聞きたくないし!!」
 何て我が儘な。ま、私も寵愛者様への嫌がらせ以外じゃ絶対したくないから良いけど。
 やがて、準備が整ったのか、ざわついていた場内に決勝戦に勝ち上がった二人を呼び入れる進行役の声が響く――はずだったんだけどね。アネキウスがうっかり瓶という瓶を割るか引っくり返すかしたのか、とにかくとんでもない豪雨に見事に掻き消された。天幕に当たる雨の音も尋常じゃない。天幕、破れないだろうね。寵愛者様に限って、決勝を見ずに引き上げるなんて賢明な判断を下すはずがないから、雨漏りとかした場合、張り直すの面倒なんだよ。
 しかしまあ、これはあれなのかね、寵愛者様の応援が聞こえた日には試合に集中出来ないから雨で遮ろうって魂胆なのかね。グレちゃんなら充分有り得る話だけど。でも、今が平和だからそれでも良いようなもんで、その程度で手元が狂うって衛士としてどうなの。
「念のためお聞きしますが、寒くないですよね」
「……確認の仕方、おかしくない? 確かに寒くはないけど」
「寵愛者様、頑丈ですから」
「グレオニーには繊細で可憐って言われてるけど?」
「それ、私の口から聞きたいですか?」
「聞きたくない」
 だったら良いじゃない。私は言いたくないし、寵愛者様は聞きたくない。見事に利害は一致してる。
 全く、何だかんだ文句つける割りに、仕方ないから応じてあげようとすると嫌がるんだから。
 しかし、このちょっとやそっとじゃ病気すらしそうにない、毎月土砂降りの御前試合を観戦してもくしゃみひとつしない寵愛者様が繊細で可憐、ねぇ?
 さすが、節穴は違うわ。
 歓声よりも激しい雨音の中、決勝戦が始まった。音が聞こえないだけじゃなく、雨でけぶって試合すらまともに見えない。刃は潰してあるとは言え、こう足元が悪いんじゃ、万が一ってこともあるし、こんな中で試合しなきゃいけないなんて同情を禁じえないね。
 主にグレちゃんの対戦相手に対してだけど。
 グレちゃんは別にいいじゃない。自業自得っていうか、元凶自分なんだから。
 ちらりと視線を向けると、寵愛者様はらしくもなく、祈るように両手を握り合わせて真剣に見入っている。普段からこうやって殊勝でいてくれたら――ああ、グレちゃんの前ではこれが普通なんだっけ。
 足音も剣戟も、戦っている二人の息遣いも、凡そ観戦の醍醐味らしいものをなにひとつ感じられない時間がどれくらい続いたのか。不意に対戦相手が地面に膝を付き、剣を置いた。進行役がグレちゃんに向けて腕を伸ばす。
 決まり、かね。
 試合中よりは小降りになった雨に混じって拍手や歓声が聞こえる。グレちゃんがどこかほっとした様子でほんの一瞬だけこちらに視線を投げ、その視線につられる様に、不意に寵愛者様が溜め息を溢す。
 この後、何を言い出すのか大体の検討はついてる。よっぽどの大馬鹿者じゃない限りつくとは思うけど。
「はいはい、寵愛者様のグレちゃんは今日も格好良かったですね。でも他の女性の心を惹くことは、十中八九ないのでどうぞ御安心を」
「……十中八九でしょう? 残りの一は? 可能性はあるってことじゃ」
「残りの一は寵愛者様なんで大丈夫です」
 寵愛者様が不満げにこちらを睨むけど、それがどうしたってのよ。事実じゃないの。むしろ喜ぶべきところなんじゃないの。グレちゃんの魅力が寵愛者様にしか分からないって言うのは。誰かに取られる心配ないんだから。
 それにしても、出鼻を挫くってのは実に気分が良い。心が弾むような気すらする。誰しも気分転換は必要だし、大事なことだよね。
 なんて内心にやにやしてたら、不意に伸びてきた指先に思い切り太腿のあたりを抓られた。ちょっと、爪、爪食い込んでるから。だからと言ってこの場では、痛い、と騒いで飛び退くわけにもいかない。
 こうして私のささやかな気分転換は一瞬にして幕を閉じた。

[ ゴールまで後ちょっと ]