「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
武官グレオニー再び
2014年05月11日 (日) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情ED前提 !!

レハト様のスペック:王城ニート満喫(= あ た ま わ る い )
ハイラがいるよ。


以前やった「レハト様王城ニート満喫プレイ」が妙にツボに入った結果がこれです。
例え魅力0だったとしても寵愛者がちょっと本気を出せば、天地が引っくり返るようなビフォーアフターが待っているはずなので、篭り明け後の容姿に関しては問題ないと信じてます。
グレオニー、面食いだしな。

そして唐突に話題変更。
武官グレオニーは、レハト様にどんな懸想文を送るんですかね。
身分的に良い紙なんて手に入らないだろうし、グレオニー、字汚そうだし……。
文に添える季節の花とか分かるか、大丈夫か、グレオニー。
まあ、花はフェルツあたりがしっかりフォローしてくれそうですが。
というか、肝心な歌がメッチャ下手な予感。
ハイラに頼めば代筆してくれそうだけど、「はいはい、大船に乗ったつもりでハイラさんに全て任せなさいって」とか言って、直球ど真ん中ストレートで全くちっとも少しも包み隠さないいやらしい歌を詠みそうです。
や ら な い か 、みたいな。


あ、ダメだ、これ。
サニャが温情で手紙を取り次いでくれても、恋が始まらない。


でも良く考えたら、レハト様は未分化(=子ども)だから御簾の奥でじっとしてなくてもいいんだった。
自由に出歩けるんだった。
良かったね、グレオニー!!
レハト様と恋が出来そうだよ!!


拍手ありがとうございます。ウヘヘ。





 に 標 結 う

 こう言うと身も蓋もないけど、レハト様はあまり頭がよろしくない。
 ローニカさんから、あまり座学は好きじゃないらしい、という話は聞いていたし、だからどうしたってことじゃないんだけど。誰にだって不得意なことの一つや二つあるもんだし、寵愛者様でも出来ないことがあるんだなって、俺にとってはその程度のことで。計算が出来ないからって俺がレハト様を嫌いになることなんてないし。
 ま、まあ、俺が思ってたよりちょっとというかかなりというか、その、苦手みたいだけど。
「五たす三は?」
 ハイラの問いに、レハト様はまず右手の指を五本折り曲げ、次に左手の指を三本曲げた。それからおもむろに曲げた指の本数を数え始める。
 やがて可愛らしい声が、八!!、と高らかに宣言した。
 あってる、あってる。あってます。あってるんだけど、うん。あ、あってるんだからいいんだ、いいんだよ。
 そうだろ?
 そうだよな? な?
「……七たす六は?」
 次の問題にも同じように指を折り始めたレハト様が、全ての指を折ったところで、俺の手を掴んだ。改めて俺の指を七本曲げ、レハト様御自身の手を六本曲げる。
 そして同じように一から数え直し、十三!!、と満足気に答えた。
 今度もあってる。ちゃんとあってる。
 でもなんだろう、このちょっともやもやした感じは。何と言うか、すっきりしない。あってるんだから、素直に喜んでおけばいいじゃないか。レハト様はこんなに嬉しそうなんだし。
「…………十九たす二十三は?」
 ゆっくり指を折り曲げながら、レハト様がちらちらちらちらと俺に視線を投げて来る。
 御自分と俺の指では足りないのは分かってるんですね。立派ですよ、レハト様。
 だけど俺は今、心を魔物にしないといけない。答えを教えちゃ駄目だ、駄目なんだ。それはレハト様のためにならない。間違えても考えるってことが大事なんだ。間違ったら、どうして間違ったのかきちんと原因を見極めて、次からは出来るようにすれば。
 ああ、でもレハト様の目が俺に助けを求めている。レハト様の綺麗な目が、助けてグレオニー、と囁く。
 お願いですからやめてください、そんな目で見ないで下さい。そんな目で見られたら俺は、俺は――。
「…………四十二、です」
「はい、グレちゃん罰金ねー」
 う、そうだった。ハイラがレハト様を鍛えている――という名の下に苛めてるようにしか俺には見えない――時に答えを教えたら罰金なんだった。ちなみに物理的に手を貸すのはセーフってことになっている。
 でも、でもだなあ!!
 あんなに、グレオニーお願い助けて……、なんて切ない目で訴えられて黙っておけたら俺はレハト様と結婚するために一念発起して無いし、そもそも王城にさえ残ってないわけで。
 仕方ないだろ、絶対。大体、婚約者が困ってるのを助けなかったせいで婚約破棄とか大問題に発展したらどうしてくれるんだ。俺の努力が全部水の泡じゃないか。
「というかね、どうするの、この先。知らないかもしれないけど、グレちゃんの給料なんてたかが知れてるからね? その薄給を遣り繰りする人が計算ひとつ満足に出来ないとか、家計簿付けられんの? 即家計が破綻するんじゃない?」
 ハイラの言うことは一般家庭なら至極尤もだけど、レハト様が家計簿付けないといけないのか?
 想像出来ない。
 あ、いや、決してレハト様の頭があれだからとかそういう意味じゃなく。寵愛者様なんだし、そういう雑事って言うか、とにかく細かいことは侍従がするんじゃないのか。俺もレハト様に家計簿をつけてもらおうとは思ってないぞ。
 足りない分は私の装飾品売ったりしてなんとかするもん、と即座にレハト様がハイラに噛み付いたけど、あっさり鼻で笑われている。
「あのね、寵愛者様が質入れとか、グレちゃんは甲斐性無しだって吹聴して歩いてるようなもんよ?」
 まあ実際甲斐性無しだけど、としれっとハイラが付け足す。
 でも、情けないかな返す言葉がない。この先どうなるかは分からないけど、今の身の上は一介のただのどこにでもいる衛士だ。給料も確かに高くはない。でも、だからってすぐに生活が立ち行かなくなるほど低くもない。一応王城付きだからな。
 つまり、慎ましく、無駄な贅沢をせずに暮らしていれば問題ない。
 とは思うものの、レハト様にずっと同じ服ばっかり着回しさせるわけにはいかないよな。寵愛者様にそんな生活はさせられないだろ。装飾品は無理でも、レハト様の服くらいは定期的に買い換えられるように今から貯蓄をすれば、何とか……何とか……。
「だ、大丈夫ですよ。もっとがんばりますし、そういうのは俺が全部やりますから」
「グレちゃんがそうやって甘やかすから寵愛者様の脳みそがいつまでたってもすっからかんのポンコツなんだよ。自覚しな」
「おい、ハイラ」
 いくらなんでも言い過ぎだと庇おうかとも思ったけど、当のレハト様は、ポンコツってなに?、と首を傾げている。
 ここは、すっからかんが理解出来たことを誉めるところか? いや、違う、絶対違う。違うけど、ちょっと正解な気もするから困る。
 というか、ポンコツに疑問を持つ前にすっからかんに対して怒った方がいいんじゃ。その温和っていうか、暢気なところも好きなんですけど、このままだとすっからかんを認めたことになりかねないですよ。
「……グレちゃん。本当にどうすんの、これ」
「これって言うな」
 ちゃんと名前を――いや、なんかハイラに名前で呼ばれるのは嫌だな。いつも通り、寵愛者様、で良いか。とにかく、失礼な呼び方は控えてもらわないと。というか、俺が言うまでもなく普通は控えるもんなんだけどな。
 なんでハイラってレハト様にはこういう態度ばかり取るんだ?
 内心首を捻る俺の隣ではレハト様が、ねぇねぇポンコツって? ポンコツってなに?、としきりに俺の袖を引っ張っている。
 何って聞かれてもですね……。
「グレちゃん、教えてあげなくていいの?」
「……し、知らなくても良い事もあるだろ」
 ポンコツの意味なんてどう遠回しに説明してもロクなもんじゃないだろ!! そもそもなんで俺にその尻拭いをさせるんだ!!
 本当にもう、ハイラはレハト様に近付かないで欲しい。ストレス発散なら他所でやってくれ。それこそ、ハイラの好きな娼館にでも行って発散すれば良いじゃないか。そりゃあ娼館だと金掛かるけど。まさか、タダだからってレハト様苛めてストレス解消してるんじゃないだろうな!?
「あのさ、百面相してるところ申し訳ないんだけど、さっきからこの脳みそ空っぽの人がポンコツポンコツうるさいんで、ポンコツの説明するか、黙らせるかしてくれない?」
「お前のせいだろ、お前の!!」
「えー。グレちゃんがちゃっちゃと説明してあげりゃ終わる話じゃない?」
 そりゃあ説明したら終わるさ。ああ、終わるさ。
 色々な。
 俺はまだ絶望したくない。
「ああもう、うるさいから、私よそ行くわ。そんじゃ」
「は、はあ!?」
 ……に、逃げた。
 確かにさっきからずっとレハト様はポンコツポンコツとそればっかり連呼してるけど、レハト様にポンコツという知らなくてもこの先絶対に困らない単語を植え付けた張本人が真っ先に逃げるとかないだろ。
 そして、レハト様はまだ飽きることなく、ポンコツってなに?、を繰り返してる。これはやっぱり俺がどうにかするしかないんだよな。
「ええと、ポンコツと言うのはですね……」
 両手で俺の腕を掴んだまま、レハト様が真剣な眼差しで俺を見上げる。
「ポンコツと言うのは……ポンコツと言うのは……」
 なんだよ、なんなんだよ。
 ポンコツってなんだよ!?
 いや、ここで俺が焦っちゃいけない。平和的な解決方法を探すんだ。そう、例えば、ポンとコツで分けて考えて何とか。
「ポ、ポンコツじゃなくて、ポンとコツなんですよ。だからつまり」
 無理だ、俺には無理だ。
 ああ、どう説明したら平和なまま一日を終われますか、アネキウス。

[ 完 ]