「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
ヴァイルでSS頑張ってみた。
2009年09月04日 (金) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! ヴァイル愛情verA前提 !!

ヴァイル:王位継承、性別女
レハト:王配、性別男(* レハトは友情出演)
ヴァイルとユリリエがメインです(むしろユリリエメインな悪寒)。
終始ほのぼの。

突然ヴァイルネタが降って来た。
あー、たぶん本家で見た成人後女ヴァイルのせいだなあ、こりゃ。
後回しにしてごめんね、グレオニー!
でも憎まないで!
足攣るとかもういらないから!!(←トッズSS書いている時に攣った……)

今更ですが、なんでサイトあるのにここでSS出してんのかと言うと、
htmlファイルにするのがメンドクさ(ry
ブログで書いてるから、そのままブログで公開したほうが楽チ(ry

まあ、そんなような理由です。
そのうちサイトの方にもあげます。
多分、加筆訂正等ないです。
加筆訂正するためには読み直さないといけないからね!!

……あれ、SS本文が想定以上に長くなっちゃった。
ま、いっか。
本文は続きに畳んでいますので、決心がついた方はこのまま先へどうぞー。







 女 の 願 い と 私 の 願 い と

 継承の儀を終え、それに付随する式典も粗方幕になり、以前定例となっていた舞踏会が本日久方ぶりに催される運びとなった。
 私生活はともかく、公的な場では新王として滞りなく勤める幼馴染の治世は先代同様平穏なものだ。予想外の出来事と言えば、成人前は頑ななまでに男を選択すると言い張っていた新王――ヴァイルが、女性を選択したことくらいか。それもこれも全て、成人の儀の一年程前に見出されたもう一人の寵愛者のために他ならないと言うのだから、実に恐ろしきは恋の力だ。
 父親の供と言う名目で城を訪れ、一人漫ろ歩いていたユリリエの耳に、幾らか悲鳴にも似た叫びが飛び込んで来る。声が漏れて来たのはユリリエにとっては馴染みの深い衣装部屋だ。そして、その声の持ち主は誰に聞かずとも判然としていた。
 幼馴染の気安さで、当然のように衣装部屋へと足を踏み入れ、成人前よりずっと髪は伸びているものの、その面影を色濃く残した背中に嘆息しつつ問い掛ける。
「国王ともあろう御方が、何を子どものように騒いでいますの?」
「ユ、ユリリエ!」
 弾かれるようにこちらを振り返ったヴァイルの顔は赤く、そして少しだけ泣き出しそうだった。
 強く、鋭く、厳しい王として名高い彼女をここまで追い詰めている原因は一体何なのか。この何の変哲もない衣装部屋で何があったというのか。
 ユリリエは小首を傾げた。
 室内を見回しても、然程変わった点はない。強いてあげるならば、真新しいドレスが飾られていることくらいか。一目でひどく上等なものだと分かる代物だ。だがこれが原因とは考え難い。
 訝るユリリエの前で、ヴァイルは尚も顔を赤くする。
「だってだって……これ!!」
 ヴァイルが震えながら指差したのはユリリエが先程目に留めたドレスだ。
 だが、それだけでは彼女が何を言わんとしているのか皆目見当がつかない。先を促そうにも、肝心のヴァイルはそれ以上言葉が出ないのか、口を無駄に開閉させるばかり。再び首を傾げたユリリエに、衣装係がそっと、今宵の舞踏会の御衣装でございます、と口を添えた。
 ああヴァイルのための衣装だったのか、と得心するが、やはりなぜこんなにもヴァイルが動揺しているのかが分からない。
「何か問題でもありまして?」
「何かって……お、俺……じゃなかった、私がこんなの着たら変じゃん! 絶対笑われるって!!」
「御自分で誂えさせたんじゃありませんの?」
「……レ、レハトが、勝手に」
 もごもごとヴァイルは変に口篭っているが、今度こそ成程と合点が行く。
 舞踏会用のドレスをヴァイルが自ら望んで作らせるとは思えなかったのだが、彼女の夫であるレハトがしたことなら理解出来る。
 品の良い配色に、飾り気が少ない分着る者を選ぶ、微に入り細を穿ったドレスは、ただ一人ヴァイルのためだけに誂えられたものだ。ヴァイル以外の人間が身につけたところで、ドレスが悪目立ちするだけで似合いはしまい。
 ユリリエが自然な仕種でドレスへと手を伸ばし、その質感や細部を眺めていると、
「ユリリエならともかく、俺……私が着たら笑い者になるだけだよ」
「まあ。ヴァイル様はレハト様の御趣味をお疑いになりますの?」
「そ、そういうんじゃ……レハトはさ、俺が何しててもどんな恰好してても、いつも可愛い可愛いって褒めてくれるけど、他の奴はやっぱり笑うと思うんだ」
 惚気と思わずに惚気ているヴァイルに、ユリリエは静かに微笑みを返す。
 相変わらず国王夫妻は仲睦まじいようで何よりだ。
 しかし暢気に構えてもいられない。ヴァイルの気持ちは分からないでもないが――普段着慣れていないせいで気恥ずかしいのだろう――、綺麗に着飾ったヴァイルの姿を見たいというレハトの気持ちを無碍にするのは如何なものか。
 ここは腕の見せ所だと腹を決め、ユリリエは殊更美しく微笑んで見せた。
「では、ヴァイル様らしい恰好で出席されては?」
「ユリリエ様!!」
 我が意を得たりとばかりに表情を輝かせたヴァイルとは対照的に、衣装係からは咎めるような棘を含んだ声が飛ぶ。貴族相手に強硬な態度には出られず、憮然とした態度の衣装係ユリリエは目配せで黙らせる。
 芝居がかった動作で自らの頬に手を添え、ユリリエは大きな溜息を零した。
「でもきっと、自分の誂えさせたものがヴァイル様のお気に召さなかったと知って、レハト様は落胆なさりますわね。まあでも、そんな瑣末なことはどうでもよろしいでしょう。ね、ヴァイル様」
 にっこりと微笑みかけると、瞬時にヴァイルの表情が凍る。
 純粋に恥ずかしがっているだけで、ヴァイルにそのような意図がないことくらい百も承知だ。それと同じくらい、これくらいやらなければヴァイルが一歩を踏み出せないことも長年の経験上知っている。
「お、俺、そんなつもりじゃ……」
「別によろしいじゃありませんか。王なのですもの。ご自分の好きになされば」
「……う、ううん、俺これ着る! 今日これ着るから!!」
 ドレスを握り締め高らかに宣言する声に、ユリリエは密やかにほくそ笑み、衣装係は満足気に頷いた。

*      *      *

 試着を済ませ、ユリリエと連れ立って衣装部屋を後にしたヴァイルは唇を尖らせる。
「なんかさー、ユリリエに上手く丸め込まれた気がする」
「あら、心外ですこと。ヴァイル様ご自身がお決めになられたことでしょう?」
「それはそうなんだけど」
「そうだわ、せっかくここまで伸ばしたのですもの、髪も結ってはいかが?」
「え、そこまでするの?」
 眉間に皺を寄せ考え込みながらも、レハト喜ぶかなー、とヴァイルがぽつりと呟く。
 無意識のうちに思っていたことが零れ出てしまったらしく、ヴァイル自身、呟いたことにすら気付いていないようだ。じっと長く伸びた髪の先を摘んで思案している。
 まるで隣を歩くユリリエの存在を忘れてしまったかのような真剣な眼差しに、微笑ましさと、幾許かの寂寞が込み上げるが、ヴァイルの思考を妨げる気にはならなかった。
 こんな風に愛しい人のために悩むことさえも、ヴァイルにとっては大切な時間であり経験なのだ。
 考え込んだヴァイルを上手に先導しながら廊下を進んでいると、不意に足音が聞こえてきた。次第にその足音は大きくなり、自然こちらに近付いているのだと分かる。
 足音の主が二人の視線の先にその姿を現した刹那、ヴァイルの顔がぱっと輝いた。
「あ……レハトだ! レハトレハトレハトー!!」
 行く手にレハトの姿を認めたかと思うや否や、ヴァイルはあっという間に駆け出し勢いそのままでレハトの胸に飛び込む。
 怯むことも避けることなく、それをしっかりと受け止めたレハトが穏やかに微笑んだ。
 抱きついたままレハトを見上げ、幸せそうにヴァイルが笑っている。
 少し離れた位置から寄り添う二人の姿を眺め、ユリリエは目を細めた。
 なんと穏やかで甘やかな雰囲気だろう。
「あの子の望みを叶えてくださってありがとうございます」
 小さく唱え、そっとユリリエは両手を組んだ。

 願わくば永遠にこの光景が続きますように。

[ 完 ]

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