「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
何となく釈然としない回
2014年01月06日 (月) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! 反逆者ED(+グレオニー愛情ルート+ヴァイル友情ルート)前提 !!

衛士祭没案 その1の3
満を持して衛士登場
流血とかはないけど、読んでて楽しい話ではないと思います。


年齢制限かけるべきか本気で迷ったけど、全部濁してやったからセーフだよね。
セ ー フ だ よ ね ?

やっと登場したかと思ったら非常に美味しいところを持っていきやがりました。
別にグレオニーに得させる気はさらさらなかったんですが、なぜこんなことに。
まあ、新しい年の幕開けくらいグレオニーに良い事があっても罰はあたるまい。
どうせこの先はそんな美味しい展開もないんだし。
というか二度とない可能性も。
ぐ、ぐれおにーはほかのところでしあわせにしてもらうといいよ!!

重要な部分が全部カットなのは、グレオニーが「この先は別料金です」って言ったせいです。
(前にも同じようなことが……いや、気のせいか。気のせいだな)


拍手ありがとうございます。
今年もこんな調子でグレオニーの幸せは確約出来そうにありません。テヘ★





 夜 (3)

 処刑前夜。
 不意に鈴の音が響き、見張りとして形ばかり部屋の前に立っていた衛士が来客を告げた。
 ここで私の命が損なわれることがあっては困る。
 それは彼らも十分過ぎるほど言い含められているはずだ。つまり、来客は私に害をなすような人物ではない。だからと言ってヴァイルでもないだろう。彼ならわざわざ表の衛士を通すことも、私の許可を得る必要もない。
 取り立てて拒む理由もなく、どんな奇特な人物かは知らないが、処刑前の罪人と会いたいと言うのなら会うまでのことだ。私の役目と言えば、明日の処刑の瞬間まで、辛うじてであっても命を繋ぐことのみで基本的にすることもない。
 警備の衛士はすぐに来客者を部屋へと案内して下がり、私と二人だけで取り残されたその男は、扉が閉まるなり口を開いた。
「陛下に、特別に許可を頂きました」
 まさかグレオニーだとは思わなかった。
 ヴァイルと来たら、気を遣ったつもりなのだろうか。それとも、グレオニーの言う通り本人が自ら望んだのだろうか。
 念のため彼の身なりに視線を走らせたが、彼の腰に剣は下がっていなかった。
 それにしても、グレオニーに対してこんな心配をしないといけないとは。
 我ながら嫌になる。
「事情と言うか経緯と言うか、そういうのも、全部、陛下から伺いました。やっぱり、レハト様じゃなかったんですね。そんな気はしてたんです。貴方は他愛ない悪戯はしても、誰かを決定的に傷付けるようなことはしない人だったから」
 そう言ったグレオニーが笑おうとして失敗したのか、口元を微かに歪めて私から少しだけ視線を逸らした。
 体の横で握られた拳が微かに震えているが、穏やかな言葉通り彼から怒気は感じられない。てっきり反乱の首謀者とされる私に怨み言の一つでも言いに来たのだと思ったのだが。
 グレオニーが私に会いに来た理由はなんだろう。
 分からない。
 何と言えば良いのか困り、黙り込む私に、グレオニーは思いつめた声を漏らした。
「俺、悔しいんです。貴方が大変なことに巻き込まれてたのに、何も出来なかった。もっと俺がちゃんとしてれば……」
 違う。それは違う。グレオニーのせいじゃない。貴方には何の責任もない。
 そう伝えたいのに、なぜか上手く声にならなかった。
 彼はこんな風にずっと自責の念の駆られていたのだろうか。私がいなくなってから、私が下らない感傷に引き摺られてメーレの手を取ってしまってから、ずっと。
 もうそれだけで十分だ。
 例え私の想いに応えてくれなかったとしても、彼はこんなにも私のことを思ってくれていた。これほど嬉しいことはない。
 数歩だけ距離を詰めると、急にグレオニーが慌て出す。 
「あ、す、すみません、俺、こんなこと言いに来たんじゃないんです。ええと、あの、レハト様、覚えてらっしゃいますか? そ、その……レハト様が俺を呼び出した時のこと」
 覚えている。
 私がグレオニーを呼び出したのは後にも先にも彼に思いを伝えたあの一度きりだ。
 忘れられるはずもない。
 私が頷くと、グレオニーはほんの少しだけ肩の力を抜いたように見えた。
 そのことがどうかしたのだろうか。どうやら彼の話の本題はこれからのようだが、あのことが今何か関係あるのだろうか。
「あの時、うまく伝えられなくてずっと後悔してました」
 言いながらグレオニーの手がそっと私の手を包んだ。
 迷いのない真っ直ぐなグレオニーの目の中に、不思議そうな顔をした自分が映っている。
「貴方が好きです」
 思い掛けない告白に私が目を見張ると、ちゃんと言えて良かった、とグレオニーは子どものような、どこか照れ臭そうなはにかんだ笑みを見せた。
 彼はちゃんと伝えられなかったと言った。
 それなら、彼は、あの時も。
 私は今、答えてもいいのだろうか。
 ゆっくりと手を伸ばすと、そのまま引き寄せられた。顔を上げると目が合い、同じ速さで近付いて互いの唇を重ねる。何度も繰り返し、離れては触れ、離れては触れ。
 今日は本当に処刑前夜なのだろうか。
 突如曖昧になった感覚は多分ただの現実逃避だ。
 唇が離れた合間に見上げると、私を映したグレオニーの双眸が辛そうに歪んでいた。
「それで、ええと、レハト様……明日の、その…………」
 言葉を濁したグレオニーの顔を両手で捕まえる。
 来て、必ず来て。来ないなんて言わないで。処刑前に目隠しをされるその直前まで貴方の顔が見ていたい。最期に視界に映るのはグレオニーであって欲しい。
 彼が断れないのを薄々感じながら、最期の我儘を口にする。
「……レハト様が、そう望むなら」
 思った通り、グレオニーは困ったように眉を垂れながらも私の仕様の無い我儘を受け止めてくれた。 
 こめかみに触れたグレオニーの唇が頬に落ち、やがてまた唇に触れた。彼の動きに何一つ逆らうことなく、私の身体は寝台へと浅く沈み、受け止めたグレオニーの重みで更に深く軋み沈む。
 良いのだろうか。
 こんなにも幸せで。
 多くの罪なき人を傷付けた私が。
 身体をまるごと包む幸福に少しだけ泣きたくなった。
 ああ、アネキウスはなんと慈悲深いのだろう。

[ 続く ]