「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
ヴァイル祭、始まってるよー(・ω・)ノ
2013年05月04日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! ヴァイル憎悪verB+グレオニー愛情verAED前提 !!

グレオニーには誠心誠意謝罪をしたい。メンゴ。
久々に鬱SSです。やったね10KAちゃん!
流血(?)有。苦手な方はご注意を。

※前にも同じようなSS書いた気がするけど私は気にしないので皆さんも気にしないで下さい★


どうしてこうなったか、まずはその経緯をご説明しようではないか。

ヴァイル祭始まる
   ↓
心ゆくまで堪能する
   ↓
SSの2分の1が憎悪だという事実に気付く
   ↓
分かる、分かるよ! ヴァイル憎悪って滾るよね!!
   ↓
脳内に憎悪ヴァイル様降臨
   ↓
殺るやるならいつ?


今 で し ょ 。


もう、憎悪関係でグレオニー殺すの何回目かなんて覚えてねーや。ははは。
今は反省しています。
だから石は投げないで。
こ、今度はあれよ、ラッキースケベ的な展開で鼻血吹き過ぎて死ぬみたいな美味しい目に合わせてあげるからさ、うん。
どんまい、グレオニー!!

拍手ありがとうございます。
「おまえっ、全然拍手をありがたく思ってねえだろ、ああ!?」みたいな内容ですみません。
本当にありがたく思ってます。
本当に本当です。信じて。





 の か た ち

 使い古された手袋を手に塔の階段を上る。
 これを見せたらあいつはどんな顔をするだろう。
 閉じ込めた小鳥はいつしか何の感情も示さなくなっていた。最初こそ反抗したものの、今じゃ泣きも喚きもしない。
 それならそれで良い。こちらから揺り動かすまでだ。
 どんな手を使ってでも。
 何にせよ、彼女がぶちまける感情を思うと愉快でならなかった。

*  *  *

 満足な後ろ楯のない衛士を無実の罪で消すのは、赤子の手を捻るより簡単だ。
 証拠なんて後からいくらでも作れば良い。
 何しろ、その衛士とレハトが恋仲にあったのはほぼ公然の秘密。
 そして俺がレハトを、玉座を揺るがすものとして、国のため民のために厳重な見張りを付け隔離したことも。
 護衛は皆下がらせた。裏の護衛は私情を殺せるが、表の護衛は殺せないから同席させるわけにいかない。下がらせたところで裏の護衛が目を光らせているから、まず問題ないしね。
 だから、これからここで起こる事は俺とその衛士しか知らないことになる。
 レハト恋しさに突然錯乱し、王に刃を向けたと言えば誰一人として俺を疑わない。
 だって俺は王なんだから。この国を統べるべく選ばれた者なんだから。
 二人きりの玉座の間で俺が剣を抜いても、対峙した衛士は頑なに剣を手にはしなかった。
 俺が今から何をするのかなんて、大体見当が付いているだろうに。
 意外と忠義心が強いのか、別の意図があるのか。
 まあ良い。殺したあとで握らせれば済む。
「何か言い残すことでもある?」
「いえ、ありません。ただ陛下にひとつだけお願いがございます」
「何? 場合によっては聞いてあげなくもないけど?」
「私の命と引き換えに、どうか……レハト様に自由を」
「……馬鹿じゃないの」
 事もあろうにそれが遺言?
 命乞いでもしたらまだ可愛いげがあったのに、自分の命よりレハトが大事?
 レハトの何があんたにそうさせるの?
 寝言は寝てるときに言いなよ。たかだか衛士一人の命でレハトの自由が買えるなんて思い上がりも甚だしい。
 俺は衛士の願いを請け負いも退けもせず、ただ無言で剣を降り下ろした。
 飛び散った返り血が煩わしい。
「あーあ、つまんないの」
 つまんないつまんないつまんない。
 なんでもっと抵抗しないの?
 なんで怒らないの?
 あんたの不幸は自分のせいじゃなくて全部全部レハトのせいなのに。
 転がる死体の腰から剣を抜く。
 不意に襲われたと装うために部屋を少し荒らし、念には念を、と僅かに自分の体に傷を付け、それから衛士の手に剣を持たせた。
 その後のことが俺が望んだ通りに運んだのは言うまでもない。

*  *  *

 レハトは僅かな明かりの中で、寝台に座ったままぼうっと外を見ていた。自分の意思では決して届かない場所を。
 でもその目は外を羽ばたく日を夢見ているわけじゃない。
「これ、あげる」
 投げ付けた手袋を、レハトはぼんやりとした視線で追い、のろのろと手に取った。
 履き口を裏返し、名前を確認してから、殺したの?、と静かに問うから優しい俺は答えてやる。
「そうだよ。レハトに関わったばっかりに可哀想だよね」
 さあ、どうするレハト。
 レハトの部屋には短剣がある。自害する度胸があるならしてみせろ、と渡したものだ。今まで彼女がそれを使ったことはなかったが、かと言って処分してもいないはずだ。
 だから怒りに任せ、俺を殺すことも出来る。
 尤も俺の息の根を止める前に取り押さえられるのが関の山だろうけどね。
 でも、俺の予想と期待に反して相変わらずレハトは淡々としたものだった。
 じっと手の中の手袋を見つめている。ただそれだけ。
 どうして怒らない?
 惚れた男が殺されたと聞いて、どうして取り乱さない?
 レハトの愛ってそんなもの?
「随分落ち着いてるね」
 顔色一つ変えないまま、レハトは手袋をそっと撫でている。
 レハトは俺を見ない。見てくれない。
 もうその手袋の持ち主はいないのに。
 レハトの傍には俺しかいないのに。
「帰る」
 つまらない。
 また何か別の方法を考えなければ。
 踵を返した俺の背に、レハトは、ありがとう、と小さく呟いた。
「……意味分かんない」
 ありがとう?
 何が?
 レハトは俺の知らない間に今を生きることをやめてしまったのかもしれない、と何となくそう思った。

*  *  *
 
 レハトの死が伝えられたのは翌朝だった。
 朝食を運んだ侍従が、胸に短剣を突き刺し横たわるレハトを見つけたらしい。
 あのレハトが自殺? 今更?
 嘘だ。
 でも死んだ衛士以外に味方のいないレハトには、わざわざそんな下らない嘘を伝言させる術がない。
 それならレハトは死んだんだ。本当に。あの塔で。
 ふと、レハトの声が甦った。
 ――ありがとう。
 レハトはそう言った。
 ――ありがとう。
 あの時は分からなかったその言葉の真の意味が、考える前にすとんと落ちてくる。
 ああ、そうか。
 レハトを殺したのは俺だ。
 俺が、この手で、あの衛士ごと彼女が生きる意味を奪った。
 俺たちは死後、神の国へと迎えられる。神の国に行けるのは、額にアネキウスの加護を受けた者だけだ。
 そこには当然ながらレハトが愛したあの衛士はいない。
 だからレハトは今日までは、男が生きている間は、自ら死を選ばなかった。
 男と共にあれる場所はこの世にしかないから。
 死には救いなどなく、何よりも明確に二人を分かつ手段でしかない。
 でもあの男がいない世界なら、レハトはいつでも手放すことが出来る。レハトの意志だけで。
 だからきっとあれは、知らせてくれてありがとう、なんだ。
 レハト、そこまであの衛士が好き?
 なんで俺じゃ駄目だったの?
 ねえレハト。
 そっちに逝ったら、答えてくれる?

[ 完 ]