「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
これが最後
2011年08月19日 (金) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! 前提なし(強いて言うなら、グレオニー友情verBED) !!
レハト様:女性/一人称[私]/not王
またしても軽薄な衛士ことハイラさんがメイン
グレオニーはレハト様の護衛(今回は出番ゼロ)
誠に遺憾ながら「背中合わせで紙一重」の続きの続きの続きです


なんか知らんですが、

まるくおさまったのです(゜-゜)

不思議だね☆
それにしても、この二人、結婚したら周り(主にグレオニーが)振り回されて大変なことになりそうな。
というか新婚初夜に大乱闘の予感でいっぱいだよ!!
このレハト様が大人しく且つ初々しく三つ指をそろえて、不束者ですが末永く(以下略)なんて絶対ないね
ない。
ないものはない。
でもそんな話を書く予定はない。
ないものはない。
今は王子の相手をするのに忙しい。



ゴルァ、どこ行きやがった、グレオニィィィィィィィィ!!

というわけでこれにてハイラとはサヨナラです。
ありがとうハイラ、さようならハイラ。
君の事は忘れない。

拍手ありがとうございます。
拍手の数=「あなたのパソコンのために祈らせてください」と仰って下さった人数ですねわかります。





 中 合 わ せ で 紙 一 重 ( 4 )

 疲れた。
 舞踏会に顔を出すのは久しぶりなせいか、普段顔を合わせないような貴族たちが間断無く声を掛け、頻りに子息を売り込んでくる。何とか露台に脱出出来た時には疲労困憊だった。
 ああ、暑かった。
 露台でも影の濃い方へと身を寄せる。
 終わるまでここにいよう。
 手摺に肘を付き、込み上げる溜め息を遠慮会釈なく吐き出しかけた瞬間、鼻先を掠めた微かな香りで極近くに迫った人の気配に気付く。が、気付いて息を呑んだ時には既に何者かに背後から口を塞がれていた。
 これはもしかしなくても生命の危機だろうか。だが助けを呼ぼうにも口を塞がれていてはどうにもならない。ろくな抵抗も出来ないままただ殺されるのは御免だ。
「噛み付くのはなしにしてよ」
 耳元に囁きかけられた声に、反骨精神に溢れていた思考が一時停止する。
 この声は――。
「仮にも寵愛者様たる方が一人でぼけーっと露台をうろついてるとか阿呆じゃないの」
 私が反論出来ないからと言いたい放題だ。
 無論、反論の余地がないという意味ではない。相変わらず口を塞がれっ放しで物理的に不可能という意味だ。
 本当に噛み付いてやろうか。
 露台の異変に気付く有能な衛士はいないらしく、室内からは数人の入り混じった軽快な笑い声が聞こえている。
 どうなってるのだ、この城の警備は。そしていつまでこの屈辱に耐えればいいのか。
 力一杯足の甲でも踏みつけてやろうかとハイラの足の位置を探っていると、不意に耳にハイラの声が近付いた。
「ひょっとしなくても足狙ってない?」
 なぜバレた。
 ぎょっとする私にハイラは喉の奥で笑う。
「グレちゃんなら気付かなかったかもね」
 それに関しては異論はない。グレオニーなら私の作戦通り踏ませてくれるに決まっている。
 だが今はグレオニーなどどうでもいい。ハイラだ、ハイラ。無礼を働くにも程がある。
 緩んだ手を跳ね退け、振り向き様胸ぐらを掴もうとして私は思わず動きを止めた。
 なぜ衛士の制服を着ていない。それだけならまだしも正装とは。
 隙無く舞踏会に相応しい衣服に身を包んだハイラは普段とは全く別人に見え、暫し戸惑う。
「なに、見惚れた?」
 誰が! 誰がだ!
 この傍若無人な口調は衣服は変われど間違いなくハイラだ。少しは衣装に見合った中身になっているかと思ったのに。例えそうなったところで逆にうさんくささと不審感が増す気もするが。
 しかし、どうしてこんなところにハイラがいる。舞踏会には子ども時分から何度か顔を出しているが、今まで貴族として参加どころか会場警備として働いてる姿すら見掛けた例がない。もしや不法侵入か。
 疑いの眼差しを向けるとハイラが軽く肩を竦めた。
「嫌だね、何でもかんでも疑って。ま、これでも下っ端とは言え一応貴族の端くれですんで。どこぞの部屋に引き込もってジメジメ根暗生活を満喫してる方が久しぶりに舞踏会に出るって聞いたから恥をかくのを眺めてやろうかと思っただけのこと」
 殴ってもいいか。いいな。私にはその権利がある。
 幸い露台には私たち以外の人影もない。いやだがしかし、ここに昏倒したハイラを放置するのは不味いだろう。後でハイラの口から犯人が割れるのは時間の問題だ。残念だが今は我慢するしかない。
 気を落ち着かせるためにゆっくり息を吸い、大体そういうハイラこそまともに踊れるのか、と尋ねると、意外なことを聞くとでも言いたげにハイラの眉があがった。
「少なくともあんたよりは遥かに上出来だとは思うけど? 論より証拠って言うし、折角ですからお手をどうぞ」
 ここでこの手を拒むと言う選択肢はなぜか浮かばなかった。誘われるまま差し出された手に手を重ねる。
 ハイラの手は潰れたマメのせいか思いの外固かった。どうせ鍛練嫌いでサボってばかりに違いないと思っていたが、案外真面目なのだろうか。ということはつまり私に対する想いも――いや待て。あちらがそうだから、こちらもそうに違いないと決め付けるのは安直過ぎる。
 それはそれ、これはこれ、だ。
「お手並み拝見」
 上等。望むところだ。
「次の曲が始まったらね」
 ひとつ頷いて、大広間から再び音楽が漏れ聞こえるのを待つ。やがてゆったりとした曲が流れ始めると、それを合図に私たちも動き始めた。
 数歩踊っただけで嫌でも分かる。認めるのは癪だがさすが喧嘩を売って来ただけのことはあって上手い。伊達に生まれながらに貴族ではないということか。
 尤もこの場合、私が普段練習相手にしているグレオニーが極端に下手だというのもあるだろう。あの上達のしなさ加減はある意味天晴れだ。
 どうでもいいが仕方がないこととは言え、腰に手が触れているのが気になる。顔をあげるのすら妙に気恥ずかしい。
 曲が止み、それに伴いハイラも動きを止める。
「で、寵愛者様の評価はいかがですかね」
 内心認めていたとしても上手いとは口が裂けても言いたくない。
 まあまあなんじゃないか。
 視線を逸らしたまま何でもないことのように評価する。
「へえ。あんたの口からそんな言葉が飛び出すとは思わなかった。要は上出来ってことか」
 だから、まあまあだと言ったのだ。誉めてない、一つも誉めてない。
「一つだけ忠告。男より先に次の動作に移ろうとするのはやめなね」
 身に覚えのある指摘に憮然とするしかない。
 グレオニーにリードを期待するのが間違っている。
「練習相手に不足があるならいつでもどうぞ。それ以外でも呼んでもらって構わないけどね。でも何か適当な理由でもないと呼び出せないでしょ、あんた」
 図星を指されては黙る他ない。大体用もないのに呼び出すなど、まるで恋人同士みたいではないか。
 唐突なのは百も承知で、中に戻ると宣言し、向きを変えかけた私をハイラが押しとどめた。それも力尽くで。
 背後から抱き締められ、尋常ではない勢いで心臓が暴れる。
 これはただ驚いただけで別に深い意味もなければ、勿論ときめいたとかそういった類いの感情は微塵も欠片もない――と思う。
「やっぱり他の男とも踊るの?」
 肯定か否定か、この場合正解はどちらだ。
 実際のところは余り踊らない。申し込まれた時に困らない程度に練習しているだけだし、そもそもにおいて舞踏会に顔を出すのが稀だ。
 しかし正直に話すと、こうして公式の場――とは言っても人気のない露台だが――で踊るのは貴方だけよ、みたいな意味に取られかねない。やはりここは嘘でも他の男とも踊ると言うのが正解だろう。
 よし、と決断し口を開きかけたが、それはハイラの声にあっさりと蹴散らされた。
「ああ、そうだ。これあげる」
 あげると言いながら、ハイラは素早い動作で私の手を掴み、するりと指を撫でた。
 何事かと問う間もなく、気付けばきらきらと光るものが指にはまっている。
「いらないなら次に会う時までに捨てちゃって」
 事も無げに言って退けるが、捨てろと言われても困る。非常に困る。折角ハイラからもらった指輪だから捨てたくないわけではなく――そう、育ちが育ちだけに貧乏性で明らかに値の張るものを不要だからと容易く捨てられないだけだ。
 大体これはなんだ。つまり、私に結婚を申し込んでいるという意味か。
「それじゃ、目的は果たしたし、私は帰ることにするよ」
 ひらひらと手を振り、例のように例の如くハイラは変わらぬ態度で私に背を向けた。
 言い逃げか。
 咄嗟に背中に飛び付いてハイラの逃走を阻む。
「……何? 私の都合良く捉えられたくなかったら、さっさと離れなよ」
 離したら帰るつもりのくせに。
 端から見るとまるで私がハイラに追いすがっているように見えるだろうが、誰もいないのだからそこには目を瞑る。
 ハイラにも良く見えるよう、ハイラの体と腕の間から思い切り左手を付き出した。
 指輪の意味を聞いていない、と言うとハイラが溜め息を落とす。
「なに、はっきり言わせたいわけ? そういうこと?」
 否定しないのを肯定として認識したハイラがぽつりと、悪趣味、と呟いた。
 何を言う。私が悪趣味なら、その私に指輪を贈るハイラは救いようのない悪趣味だ。
 脇腹でもつねってやろうか。
 ふと、そんな可愛い悪戯心が顔を覗かせた頃、ハイラが諦めの滲んだ声を漏らした。
「惚れてもない女に指輪なんて贈るほど酔狂じゃないけど?」
 それでは答えになってない。ハイラが言いたくない、もしくは言うべきことなどないと言うのならそれで良い。指輪を外すまでのことだ。
 手を引っ込めようとすると、意図を察したのか、ハイラが私の手首を掴んだ。
「分かった分かった、言うよ。その代わり断るなんて選択肢はないからね」
 言うなり、引っ込めかけていた私の腕を引き、私を胸元へと手繰り寄せる。
「私で手を打ちなよ。ちゃんと幸せにしてあげるから」
 何とも曖昧且つ中途半端な台詞だがハイラにはこれが限度一杯か。
 どんな顔をしているのか覗こうとすると、無理矢理頭を押さえつけられた。それだけで何となく察しが付いて笑ってしまう。
 特別に私を幸せにさせてあげてもいい。
 そう応じるとハイラは低く笑った。
「素直じゃないね」
 それは御互い様だ。
 くすくす笑いながらそっとハイラの背に腕を回すと、顎を捕まれる。
 ゆっくり目を閉じた私の唇に静かにハイラの体温が触れた。

[ 完! ]

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