「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
衛士のターン
2011年07月12日 (火) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! 前提なし(強いて言うなら、グレオニー友情verBED) !!
レハト様:女性/一人称[私]/not王
またしても軽薄な衛士ことハイラさんがメイン
グレオニーはレハト様の護衛(今回も若干出番あり)
誠に遺憾ながら「背中合わせで紙一重」の続きです


ハイラさんを誰か引き取ってくれませんかね(゜-゜)

くそっ、誰だよ、うちの看板を「グレオニー党」から「衛士党」に書き換えたやつ!!

グレオニーが友達口調と通常口調がちゃんぽんになってるのは、グレオニーのくせに公私を使い分けているからです。
グレオニーのくせに生意気な。
そんでもって、もうちょっと続くみたいです。
ハイラが帰ってくれないorz
そして二人がくっつく気配がない。
なにこれ。
どういうことなの。


余談:
パソコンが一週間に及ぶバカンスから帰ってきて三日目。
またしても起動直後にフリーズorz
なぜだ、どうしてこうなった……。



拍手ありがとうございます。
お返事はまた今度。





 中 合 わ せ で 紙 一 重 ( 3 )

 目が覚めたら丸二日経っていた。
 そしてその僅か二日の間に衣装部屋での一件は城内を席巻し、今や知らぬ者はいない程、らしい。
 らしい、というのは居たたまれなさに外出を控えているせいだ。侍従からそれとなく告げられた時は危うくまたしても意識を手放すところだった。
 話の出所は言うまでもなく衣装係たちだ。
 なぜ断定出来るかと言うと、どうやら気を失う寸前、私を支えたグレオニーの胸倉を掴み、半ば脅すように、他言したら殺す、と呟いて力尽きたらしい。だが肝心の衣装係には釘を刺せずじまいだったのがいけなかった。グレオニーに衣装係の口止めをする心遣いが期待出来ない以上、私が言うより他になかったのに。
「レハト、今日も部屋から出ないつもりか? 病み上がりとは言えあんまり篭りがちなのも体に良くないぞ」
 頼んでおいた本を図書館から借り受けて来てくれたグレオニーがそう言うが、そう言われても困る。
 グレオニーは素直に私が体調不良で倒れたものだと思っているから、そう言うのは仕方ないの無いことだが。今のこのこ出歩いたところで、噂の真偽を確認したい輩に捕まるだけだ。
 それに外でうっかりハイラに出会ったらどうすればいい。逃げればいいのか。しかし別に後ろめたいことがあるわけでもないのに、ハイラを前にして逃げるのはなんだか納得出来ない。
 それくらいなら部屋でじわじわ苔蒸す方が遥かにマシだ。ついでに本の続きを読めば尚有意義ではないか。
 窓辺の椅子にゆったりと腰掛け、さあ読もう、と気分良く表紙を開いたところで私は一瞬にして凍り付いた。
 グレオニー、と静かに呼ぶと不思議そうな顔で近付いてくる。そのグレオニーの鼻先に本の間に挟まっていた紙切れを突き付けた。
 なんだ、なんなんだこれは。どういうことだ。事と次第によってはただでは済まさない。
 詰め寄ると、グレオニーがへどもどしつつ懸命に首を横に振った。
「し、知らない、俺じゃないって!! 俺は借りてきただけで!!」
 嘘を言っているようには見えないし、グレオニーには私を裏切ってまでハイラに肩入れする理由もない。ということはグレオニーは白で、ハイラの単独犯か。
 以前、読んでいた本を取り上げられたことがあったが、その続きに当たりを付けて挟んだのだろう。もし私以外が借りたらどうするつもりだったのか。随分大きな賭けをしたものだ。
 紙を指先に挟み改めて観察する。
 なんのことはない、ただ一言、答えは出た?、と書いてあるだけだ。
 想像以上に整った字なのは腐っても貴族子息ということか。
「それ、ハイラからだろう? その……レハトはあれなのか、ハイラと、そのなんだ、えーと」
 恋仲なのか、とでも問いたいのだろうが、私とハイラの関係など私自身が知りたいくらいだ。
 間違っても恋人同士などではない。少なくとも今は。いや、今はも何もこの先だって。
 そういう甘い関係にはなりようがない。
 なにはともあれ所詮は下らない悪戯だ。悪戯だが、野放しにしておくとまたこういう悪ふざけをしかねない。釘を刺すべきだろう。
 私は本を閉じ、紙を片手にさっさと部屋を横切った。
「あ、レハト、どこに」
 ハイラと一対一で勝負してくるだけだからグレオニーはついて来なくて良い。
 きっぱり告げるとグレオニーが慌てた様子で私を引き止めに掛かる。
「し、勝負って、無茶だ、レハト。女の力で勝てるはずがないだろ? 万が一ハイラがその……へ、変な気を起こしたりしたら」
 確かに以前良く分からないうちに唇を奪われた前科がある以上反論し難い。
 でもいつかは直接本人と話をする必要がある。それが遅いが早いかの違いだけだ。
 私は抽斗という抽斗を引っ繰り返し、目ぼしい物を掻き集めた。残念ながらそれほど役に立ちそうにはないが、何もないよりは幾らかマシだろう。
「ちょ、レハト待った! ハイラとは話し合いをしに行くんだろう!? 確かに万が一何かあったらって言ったのは俺だけど、だからってナイフを持って行くのは考え直せ! さすがに殺人は不味いって!!」
 グレオニーは慌てた様子で私の手からナイフを取り上げた。
 心配性なグレオニーを安心させようと思ったのに。そもそもどうして私がナイフを持つと、それが殺人に直結するのか納得がいかない。せめて護身用に一本なりとと迫ってもグレオニーは頑なに首を振るばかりだ。
 それなら手ぶらで行くから良い。
 妙な警戒心を全身に漲らせたグレオニーを後に残し、私は部屋を出た。出たのはいいが、ハイラは一体どこにいるのか。行くあてもなくぶらぶらしながら考える。訓練場が一番確率が高いだろう。いないならいないで、適当に衛士を捕まえて訊けば良い。
 よし、訓練場に決めた。
 そうしてくるりと振り返った途端、誰かに思い切りぶつかる。鼻が潰れるかと思った。
「誰かと思ったら」
 寵愛者にぶつかっておいて謝罪より先にそんなことを言う人物に心当たりなど一人しかいない。
 探す手間が省けたと思うべきか。
 咄嗟にハイラの腕を掴み中庭の繁みへと飛び込んだ。何しろ、こんな誰の目に触れるとも知れないところでハイラと舌戦を繰り広げるわけにはいかない。私も私なりの立場と言うものがある。
「なんなの。突然人を人気のない場所に連れ込んだりして」
 その原因を作った張本人が何を言う。
 私は手にしていた例の紙をハイラの眼前に突き付けた。突き付けた上で、これはなんだ、と一応訊くだけ訊いてみる。ろくな回答が返ってこないのは予測済みだ。
「まさかとは思うけど、読めないとか言わないよね?」
 失礼にも程がある。
 こんな簡単な文章すら解読出来ないとしたら一体私は一年もの間王城で何をしていたんだと言う話だ。
「書いてある通りだけど? 問題をもう一度聞きたいって言うなら、実践しないこともないけど、どうする?」
 一歩間合いを詰めて来たハイラから一歩退く。
 二度もあんな真似をさせると思ったら大間違いだ。
 例のあの一件がもしも、万が一、可能性の一つとして、私への好意の現われだとでも言うのなら、子どもの頃なぜあんなにも絡んできたのか。仮にも一方ならぬ想いを寄せていたのなら、もっと何かこう、違った接し方があったはずだ。
 何だかんだと遠回しに言葉を探し探し追求すると、ハイラは軽く肩を竦めた。
「あんたが子どもの時は手出し無用ってことになってたからね。そういう状況で印象付けるなら、愛想振り撒いてお世辞並べるより効果的でしょ。媚びへつらう連中なんて、それこそ腐るほどいるだろうし」
 予測は付いていたというか、人の唇を問答無用で奪う理由などそれくらいしかないとは思ってたが、あれで本当に口説いているつもりだったのか。
 だとしたら方法が激しく間違っていると言わざるを得ない。大体どんな事情があったにせよ、大人になったら口説こうと思っている相手に終始喧嘩を売るとはどういうことだ。子どもじゃあるまいし。
 呆れてものも言えない。
「甘い言葉で口説いて欲しいって仰るなら期待に答えないこともないけど?」
 ハイラは顎を撫でながら斜め上に視線を移した。
 私は今、止めるべきか否か。別に私が甘い台詞で口説いて欲しいわけではなく、単なる好奇心としてそんなハイラを少しだけ見てみたい。今を逃したら、この先世界が滅亡する瞬間にでもならないとお目に掛かれないのは一目瞭然だ。だがしかし、しつこいようだが私がハイラに口説かれたいわけではない。決して違う。
 そうこうして決断しかねている間に、ハイラはひたと私に視線を合わせた。揺らぐことなく私の目を見詰め、ゆっくりと口を開く。
「レハト様、国中の宝石を掻き集めても遠く及ばぬ程美しく輝く瞳に、どんな極上の絹をも遥かに凌駕する真白き玉の如き肌。咲き誇る花よりも尚愛らしく綻んだその唇に口付けるをことを許」
 もういい、もうわかった、もう黙れ。
 早口に捲くし立てながら私は慌ててハイラの口を掌で覆った。これ以上は聞くに堪えない。
 これならいつもの皮肉な口調のハイラの方が数倍マシだ。寒くもないと言うのに瞬時に全身が総毛だった。ハイラの甘い言葉の予想外の破壊力にかなりの体力が奪われた気がする。
 妙な脱力感に苛まれ、満足に文句の一つも言えずにいると、べろりと手の内側を舐められ、私は悲鳴をあげて飛び上がった。
 唐突に何を。
 不意打ちに回らぬ口で責めると、ハイラはけろりとした顔で肩を竦めた。
「あんたが人の口塞ぐのが悪いんじゃないの」
 口を塞がれたら誰の手でも舐めるのか。とてもじゃないが常識的な行動とは思えない。
 詫びの一つでも入れさせようと食い下がる。今日こそハイラの辞書に、謝罪と反省という言葉を刻む込むのだ。過去の所業を振り返り部屋の片隅で膝を抱えて二、三日は外に出られない程度に。
 けれど返って来たのは予想外の言葉だった。
「あんたの手だったからね」
 ……深くは考えまい。
 ハイラのことだ。わざと意味あり気に言っているだけで、大した意味はないに違いない。というより、あったら困る――いや、別にそれほど困るわけでもない気がしないでもないがやはり困るような。
 妙にざわつく胸を掌で押さえた。
 まるで相手の隙を窺うように二人揃って押し黙っていると、不意に聞き慣れた声が響いてくる。
「レハト様、どちらにいらっしゃいますかー! ご無事ですかー!?」
 グレオニーの声だ。
 帰りの遅い私を心配して探しに来たのだろう。別にハイラと二人でいるところを目撃されたところで疚しいことも隠すべきこともなにが、何とも言えず気恥ずかしい。
 スカートを掴み、別れの言葉もなく慌しく声の方へと踵を返した私の腕をハイラが掴む。
「答えはまた今度」
 耳元で囁いたかと思うと、手近な茂みへとその背は消えて行った。
 また今度。
 ぼんやりとその声が頭を巡る。
 また今度。
 また今度。
 また今度。
 姿を消した男と入れ替わるようにグレオニーが姿を見せた。明らかにホッとした様子で近付いて来る。
「良かった、こちらにいらしたんですね。あの……大丈夫でしたか? 何がって言うと憚られるんですが、その、何と言うか。強引に変なことをされたりとか。あれ? 聞いてらっしゃいますか? レハト様? 顔が赤いですけど、熱でも……って、え、レハト様!?」
 何でもない。
 心配そうに顔を寄せるグレオニーを力尽くで押し退け、私は一目散に自室へと駆け出した。

[ 先行き不透明 ]

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