「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
ここはどこ?私は何党?
2011年04月02日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! トッズ殺害verB前提 !!
レハト様一人称:私(城での身分は不明。ニートなんじゃね?)
無駄に分岐があるよ!(・∀・)


前回、グレオニーを(以下略)みたいな宣言をしたら、トカッセさんの大好物の緑色の細長いものが鬱蒼と繁るところから「グレオニーがダメならタナッセを描けばいいじゃない」とおまえはどこのマリー・アントワネットだバリに勧められたんですがそれは俺損以外のなにものでもないので却下です、却下。
私、マゾじゃないから、タナッセ党の方角から投石器で多量に石を投げ込まれるとか無理。
さすがに死んじゃう。

というわけで、当ブログにおいてなぜか登場回数の多いトッズさんのご登場です。
ブログを始めてかなり初期の頃に途中まで書いて放置してあったものを発掘してみたのです。
ですが、言いたいことはただ一つ。

なにやってるの、わたし(゜-゜)

待て、グレオニー! 冷静になれ!!
話し合い、話し合いをしようではないか!!
武力介入よりも先にもっと平和的な解決方法を模索しよう!!
分かってる!!
こんなことしてる暇があるなら、先にグレオニー殺害ED派生駆け落ちSSを書けと言いたいんだろう!?
おまえの言いたいことは良く分かる、良く分かるぞ!!
しかし人には出来ることと出来ないことがあ……アッーーー!!

1OKAは犠牲になったのだ。





 と 鳥

 一番大切な人を失ってから三年が経った。
 もうと言っていいのか、まだと言っていいのか、私には良く分からない。ただ側にあの笑顔が無い事だけが、あの瞬間から変わらず今もひどく胸を締め付けている。
 既にローニカもサニャも城を去り、新しい侍従たちが身の回りの世話をしてくれているが、呆けたような私を扱いかねているらしく、私は一人でいる時間が多かった。外歩きですら護衛は付かずにいる。必要ないと突っぱねたせいも多分にあるが。
 部屋の一角には諦めの悪い求婚者からの贈り物が山を成している。断りの手紙を書くことすら億劫で放置しているのにご苦労なことだ。
 ……諦めが悪いのは私の方か。
 卓上の少し不気味な人形を指先で小突く。
 今日まで、そして明日からも変わることなく私を支えてくれるであろう唯一の宝物だ。この先例え何を失ったとしてもそれは大したものではないが、これだけは絶対に手放せない。手放したくない。辛い記憶の方が新しいのに、これは不思議と楽しかったこと、嬉しかったこと、それから彼の笑顔ばかりを思い出させてくれる。
 二度ほど彼の隣で商人の真似事をしたこと。
 広間でお茶を出したときに面白い話を聞かせてくれこと。
 タナッセと揉めていたときに助けてくれたこと。
 後ろから抱きしめてくれた腕が暖かかったこと。
 私を呼び捨てにしては、ローニカに叱られていた。私個人の意見としては、呼び捨ての方が良かったのだが。
 蘇る懐かしさに自然と笑みが浮かんでくる。
 そんな私を、不意に響いた鈴の音が一気に現実へと引き戻す。私が振り返るのと、扉が開くのはほぼ同時だった。
「失礼致します。レハト様、陛下が城下の視察への同行を求められておりますが」
 侍従は姿勢を正したまま私の返事を待っている。
 どうしようか。

[ 選択肢 ]
>> [ 行かない ]
>> [ 行く ]

































[ 行かない ]

 部屋に引き篭もってばかりで沈みがちな私に、気晴らしをさせようというヴァイルの親切はありがたいが、そんな気にはなれない。城下の喧騒は、余計に私を落ち込ませるだけだ。
 失礼に当たらないよう適当な理由で断って欲しいと告げると、侍従は些か困った様子で下がって行った。
 扱い難い寵愛者だとでも思っているのだろう。だが今の私には他人の評価などどうでも良かった。
 ぼんやりと外を見遣る。
 木々が風に煽られてざわめき、雲が風に流され過ぎ去って行く。
 少々風が強いようだが中庭に出てみようか。
 中庭は私にとって、城内でも取り分け大切な場所だった。そこではまだ彼の思い出がひっそりと息づいている。彼がいなくなった後も、不意に泣き出したくなった日は必ずそこに逃げ込む。そこに行けば、あの暖かな手が優しく頭を撫でてくれる気がするからだ。例え錯覚でも幻影でも、私が私と言う形を保つためには、なくてはならない場所。
 それが中庭だ。
 時折、あの日の玉座の間を夢に見る。
 トッズの懇願も、私の嘆願も、あの場では塵同然だった。
 その後、トッズがどうなったかは知らない。誰も私に報告しなかったし、私もあえて知りたいとは思わなかった。聞いたところで何になるだろう。未来は変わらない。彼が行き着く結末はただ一つだ。
 リリアノもヴァイルも、間違ったことはしていないと今なら理解出来る。彼らは彼らの法の下、決断したに過ぎない。
 では一体何が間違っていたのだろう。
 考えても答えは出ない。
 あの一件は完全に私の愚かさが招いたことだった。私が道さえきちんと把握していれば免れた罪だ。トッズには怒る権利があった。けれど彼はそうしなかった。何かを悟りきった顔で、困ったように笑った顔が今も忘れられない。彼の目が、仕方ないね、と優しく私を宥めていた。
 ああなることを予見していたのだろうか。
 分からない。
 薄い外套を手にふらりと外に出る。
 照りつける太陽が私の目を焼き、目が眩む。
 一つ一つ思い出を辿るように、私は中庭へと足を向けた。
 トッズと二人きりで落ち合うのはいつも中庭だった。そこ以外に場所がなかったせいだ。寵愛者である私を篭絡し連れ出そうとした元罪人の護衛と、昼日中に堂々と会えるような場所は城内にはない。それに、会えるのなら中庭でもどこでも良かった。
 会うことに何よりも意義があったのだ。
 最後の駆け落ちの約束をしたのも中庭だった。
 いつも余裕綽々と言った態のトッズの腕が震えていたのを思い出す。
 突然近くの茂みががさりと大きな音を立てた。反射的にそちらに目を遣るが、特に何もない。誰も、いない。
 ……当たり前だ。
 何を期待しているのか。期待する権利すら持ち合わせていないくせに。
 風が伸びた髪を撫でていく。
 一瞬だけ付き纏った風が髪を巻き上げ、私の視界を遮った。強く目を瞑る。

 ――レハトー。

 通り抜けた風と共に横切った声音に心臓が跳ねる。
 うっかりしていれば聞き逃してしまいそうなほど小さな声。それでもあの声は間違いなくトッズのものだ。
 トッズ、なのだろうか。有り得ない、有るはずがない。でもそうあって欲しい。そうだったらどんなに良いだろう。
 僅かな間に相反する想いが交錯する。
 絶望と引き換えの希望を胸に目を開き、目の当たりにした現実に、ああ……、と小さく声が漏れる。きりりと胸が痛む。
 気が付けば辺りは既に夕闇が支配していた。風が申し訳程度に吹きぬけるだけで、人の気配は欠片もない。解りきっていたはずなのに、それでも期待を隠せなかった自分の浅ましさを呪う。
 見上げた空にはまだ若干の明るさが残っていたが、星は一つも見えなかった。
 ふと、死後、寵愛者は神の国へと迎えられるという話を思い出す。つまり、私は最後に神の国へと至るのだ。皆とは違う場所に。
 だから会えない。
 私は死んでもトッズには会えない。
 何をどうやってももう二度と。
 これが神が与えた私への罰なのだろうか。
 零れ出した涙に俯き、私は両手で顔を覆った。喉が震える。慰めてくれる手はどこにもない。

 私が寵愛者でなければ生涯トッズと出会うことはなかった。
 私が寵愛者であったからトッズと僅かでも時間を共有出来た。

 どちらが幸せだったのだろう。

[ 完 ]



































[ 行く ]

 ヴァイルの誘いを受ける事にした。
 ヴァイルは即位後も時折私を城下へ連れ出す。少しでも気晴らしになれば、と思っているらしい。私がこうなった責任を感じているのだろうか。私の今の状況は自業自得であって、彼にはなんら責任はないというのに。
 瞬く間に外出の用意が整えられ、私は急き立てられるようにヴァイルが待つ鹿車へと追い遣られた。ノックするより早く内側から扉が開き、促されるままヴァイルの隣に腰を下ろす。
「出して」
 以前よりずっと低い声音が短く言い放つと、鹿車はゆっくりと車輪を軋ませ始めた。
 鹿車が走っている間、ヴァイルは何も言わなかった。私もかけるべき言葉を持っていない。揃った無言に、同席する侍従たちが居心地悪そうに身動ぎした。 表現しがたい沈黙を乗せ、鹿車は一路街へと向かう。
 いつまでこの沈黙が続くのだろうと思い始めた頃、人目に付き難い場所で鹿車は足を止めた。普段ヴァイルが鹿車を止めさせる場所とは随分と雰囲気が違う。
 侍従たちだけが外に降り、中には私とヴァイルの二人だけが残される。
「ねえ、レハト。一つだけ聞かせてよ。レハトはそんなに自由が欲しかった? そんなに城が嫌いだった?」
 私は首を横に振った。私が欲したものはある意味自由とも言えるが、ヴァイルが意図したところとは違うだろう。
「だったら、なんで!」
 私が欲しかったのは彼との未来だ。
 トッズが気付いたように私も気付いていた。城に留まっていては彼とは一緒にはなれないと。もし王城でトッズとの結婚が認められるなら、あのまま城やどこかの領地で過ごす選択肢もあっただろう。だがそれが受け入れられないことくらい、子どもであった私にも歴然としていた。だから私は迷いなくトッズの手を取ったのだ。
 運命の皮肉とでも言うのだろうか、結果的には永遠に離すことになってしまったが。
 ヴァイルが押し付けるように一塊の布を寄越す。
「鹿車の中狭くて悪いけど、これに着替えて。それから選定印も隠して。街中歩き回るのに、それだとバレて騒ぎになるから」
 いまいち釈然としなかったが、言われるまま渡された服に袖を通す。昔のように額の印も布で隠した。
 有り触れた服を身につけ、印を隠した今の私はどこにでもいるような一市民にしか見えないだろう。恐らくはそれが狙いなのだと思うが。
「飽きたら戻ってくればいいから。それまでは好きにしてていいよ」
 鹿車を降ろされ、私は幾分戸惑いながら、行くあてもなくふらふらと歩き出した。いくつかの露店をぼんやりと眺め歩く。
 擦れ違う人は誰一人として私に注意を払わない。
 そのことにある種の心地良さを感じながらそぞろ歩いていると、視界を俄かに見覚えのある背中が横切った。
 一瞬世界の何もかもが止まる。ただそれだけが浮き上がるような感覚。

 トッズの背中に、よく似ている。

 そう思ったら体が勝手に動いていた。何度も人にぶつかり、その都度口先だけの謝罪を繰り返しながら、人波に揉まれ、一瞬でも目を離したら消え入りそうな男の背中を懸命に追う。背中と私の距離はなかなか縮まらないが、見失ってしまう事もなかった。
 男は人気のない路地を選んで進んで行く。
 それでも私に躊躇いはなかった。
 左に曲がり、右に曲がり、また左に曲がり、入り組んだ小路をもう何回曲がったのかも分からない。前を行く男が左に曲がるのを確認し、追って飛び込んだ小路で私は立ち竦んだ。
 左手には見るからに建てつけの悪そうな扉が一枚。周囲には使い道の分からない木片や、薄汚れた布などが氾濫しているが人影はない。
 ――見失った。
 どんなに耳を済ませても足音は聞こえない。あれは私の心が見せた幻影だったのだろうか。
 諦めきれずに少しだけ歩を進める。
 やはり足音は聞こえない。
 落胆に肩を落とし、肺の奥に詰まっていた深く重い鉛のような息を吐き出す。 あれはきっと幻だったのだ。
 そう結論付け、私は自嘲気味に笑う。
 もう帰ろうと幾分かの情けなさと失望を共に振り返ろうとした矢先、背後で扉が開く音がした。事態を確かめるより早く、後ろから伸びて来た二本の腕が私の体に絡みつく。
「勘が良くって嬉しいなあ。それとも愛の力?」
 耳に馴染んだ、けれども久しく聞いていなかった声。
 飄々とした軽口。
 この声を間違えるはずがない。だが、これもまた私の願いを象ったただの幻影だとしたら。
「レハトー? 聞いてる? あ、もしかして俺のこともう忘れちゃった?」
 わざとらしい悲しげな声に首を横に振るのが精一杯だった。
 ゆっくりと服越しにトッズの体温が流れ込んでくる。穏やかな温もりに包まれながら、私を抱く逞しい腕にそっと指を這わす。
 これは幻ではない。確かに人の腕。それも、誰よりも大切な人の。
「なら良かった。ごめんね、驚かせて」
 私は小さく鼻を啜り、再び首を横に振った。
 咽喉は上下するだけで音を成さない。
「実はあの後、今の王様の恩情で命は助けられてね。今日までずーっと、レハトをお嫁にください!って手紙をこっそり書きまくってたわけよ。で、今日さ、王様が視察に出掛けるって噂を小耳に挟んだから、お嫁にくれる気があるんだったらレハトも一緒に連れ出して欲しいってお願いしたら、何て返してきたと思う?」
 トッズが耳元で忍び笑う。
 元々返事を求めてなかったのか、私が答えられる状況にないことを察していたのか、トッズはそのまま話を続けた。
「連れ出してもいいけど、俺からは絶対に声を掛けるな、必要以上に近付くなって。それでもレハトがちゃんと俺に気付いたら、そのまま連れてってもいいって。酷いよねー。街中よ? 人がうじゃうじゃしてんのよ? そん中に埋もれた俺を探し出せとか、どんな嫌がらせかと思わない? 俺もうこれは、完全にくれる気ないなって思ったね」
 言いながら私を抱きしめるトッズの腕が微かに震えていた。
 場所は違えど、今の状況は軽い恐怖心に襲われるほどあの時に酷似している。私はまた、彼の手を取っていいのだろうか。彼の手を取って正解なのだろうか。
トッズと再び出会えた喜びよりも、彼をまた失う恐怖が私から言葉を奪う。「でも、レハトはちゃんと気付いてくれた……気付いてくれて良かった」
 安堵に震えた声が私の鼓膜を打つ。トッズの声音の真摯さが忍び寄る恐怖を遠くへ追い遣った。
 この手を握ってどこまでも行けるところまで逃げたい。
 今度こそトッズを幸せにしたい。
 声が出ないのがもどかしく、言葉の代わりに私はトッズの腕をきつく掴んだ。それだけで私の意を汲み取ってくれたトッズは、一段と強く私を抱きしめる。「予定より随分遅くなっちゃったけど、駆け落ちしよう、レハト」

[ 完 ]


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