「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
ひさしぶりのSSもどき
2010年11月06日 (土) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! グレオニー愛情ED(?)前提 !!
レハト様未分化。
レハト様一人称:僕
好愛>印愛な感じで


二人の微妙な関係を出そうとして失敗しました(゜-゜)<今は反省している

別に友情ルートでも良くね?良くね?
でも本人は愛情ルートのつもりで書いたんだぜ、一応。
未分化ネタは私には難易度が高いので、この先もう書かない予感がすごく……します。
ネタ的に他の方と思い切り被る気もするし。

最近は中の人が弱っているせいか、電波を受信する体力がないのでトッズしか電波を寄越さないです。
……いや、ちょっと待て。

トッズ、なぜ寄越す。

空気を読めと!
おまえはもう、最後の憎悪を仕上げたら終わりだって言ってるだろう!
私を誰と心得る!
恐れ多くもかもかて界最下層底辺の住人・10KA様なるぞ!!





 陰 の 憂 鬱

「木登りをしよう」
 そうヴァイルに誘われ僕はやや困って少しだけ首を傾げた。辺境の田舎の出だが、残念ながら木登りの経験がなかったからだ。
 亡き母は僕に危ない遊びはしてはいけないと、何かにつけ言い聞かせていた。僕としても母一人子一人で、苦労を重ねながらも大切に慈しんでくれた母の言い付けを破るのは躊躇われ、結局著しく危険を伴う遊びとは縁遠い生活を選んだ。
 それを母が亡くなったからと手の平を返すように破っても良いものだろうか。決して興味がない訳ではないのがまた厄介だ。
 僕の迷いをどう捉えたのか、今度はヴァイルが首を傾げた。
「レハト、もしかして木登りしたことないの?」
 こんなことで見栄を張る必要などない。
 僕が素直に頷くとヴァイルはなぜか満面の笑みを浮かべ僕の手をきゅっと握った。そのまま歩き出すものだから、当然僕もヴァイルに引っ張られるまま歩くことになる。
 まだ返事をしていないのだが。
「じゃあ尚更やろう! 何事も経験、経験。大人になったらこんなこと絶対に許されないんだし。まあ今でもバレたら怒られるけど」
 どうやらいつの間にか決定事項へと昇格していたらしい。あまりにも楽しげなヴァイルに、今更嫌だとは言い出すのも憚られた。元より母のことさえなければこちらにも異論はないのだ。言い付けを破ることを心の中で母に詫び、僕はヴァイルに連れられるまま木に登ってみることにした。
 ヴァイルが僕を連れて行ったのは人気の少ない場所で天まで真っ直ぐに屹立した木だった。
「俺が先に登るから、同じようにレハトも登って来て」
 相変わらず僕の返事など聞く気はさらさらないらしく、ヴァイルはさっさと木に足を掛けている。その姿を懸命に目に焼き付けながら、僕も幹に手を掛けた。
 両手に両足を駆使してどうにかヴァイルを追う。するすると慣れた様子で登るヴァイルに比べ、傍から見たら相当無様な姿を晒しているとは思うが僕は僕なりに楽しかった。
 既にヴァイルは一本の枝に腰を落ち着けている。さすがにヴァイルと同じ枝に腰掛けては危ないのではないか、と困惑していると、別の枝に座るよう勧められ素直にそれに従った。
 先輩の勧めには従うものだ。
「レハト、レハト」
 初めは恐々腰掛けていたが、それにも大分慣れた頃、ヴァイルが僕に小さな包みを差し出した。礼を言って受け取る。促されるまま包みを開くと、中には少量ではあったがお菓子と果物が入っていた。
 二人でそれに噛り付きながら他愛もない話を交わす。
 勉強の進み具合がどうだとか、中庭の猫がどうだとか。しょうもないことに揃って大笑いしていると、突然あたりに悲鳴じみた金切り声にが響き渡った。
「ヴ、ヴァイル様!!」
 ぎょっとしつつ下を見遣ると、真っ青な顔のヴァイル付きの侍従がこちらを見上げていた。
 隣の枝に腰掛けていたヴァイルと顔を見合わせる。僕を見るヴァイルの頬は心なしか引き攣っていた。困ったように頬を掻きながら、不自然な笑みを浮かべている。
 侍従の叫び声で居所が知られたらしく、続々とヴァイル付きの侍従たちが集まって来るのを他人事で眺めていた僕だったが、不意にがさがさと鳴った繁みから現れた長身の男に息を呑んだ。
 彼もまた、侍従たちと同じようにこちらを仰ぎ、唖然とする。
「レハト様……そんなところにいらしたんですか」
 この状況でそんなことを言えるのがとても彼らしい。
 けれどその一言と、一瞬のうちに彼の顔に滲んだ安堵に僕も探されていた事が容易に窺え、申し訳ない気持ちになる。
 かと言って、木登りをしたいと正直に打ち明けたところで許されるもはずもないのだから、この結果は仕方ないだろう。グレオニー一人なら何とか言い包められないことも――いや、無理だ。彼は職務に忠実すぎるほど忠実な人間だから、首を縦に振るはずがない。最終的にローニカに引き渡されてそれで終わってしまう。
 となると、やはりこうなったのは必然と言うことか。
「一人で降りられますか?」
 ぼんやりと考えに耽っていると、下にいるグレオニーから声が掛かる。
 反射的に頷き返そうとして思い留まった。何しろ僕は木登り自体初挑戦なのだ。どう降りたらいいのかなど知るはずもなかった。恐らく登ってきた時の逆の動きで降りればいいのではないかと見当は付くが、上手くいくかどうかは甚だ疑わしい。
 そもそも登る時は、必死でヴァイルの真似をして追ってきたのだ。なにをどうして、どうやってここまで辿り着いたか記憶も判然としなかった。
 僕が返事に窮したのを悟ったのか、グレオニーは考え込むように眉間に浅く皺を刻んだ。と思ったらやおら自分の服に手を掛け始める。脱いだ服をぽんぽんぽんぽん放り、身軽になったところで彼は再びこちらをしっかりと見据えた。
「レハト様、飛び降りてください。受け止めますから」
 なるほどと得心がいく。
 衛士の制服には堅い部分が多い。それで僕に怪我をさせまいとして危ない部分を外したのだろう。
 自力で降りようが、彼目掛けて飛び降りようが、危険指数はそう変わりはすまい。一瞬で終わる分、飛び降りたほうがマシな気さえする。
 よし、お言葉に甘えて飛び降りよう。
 そう決意し、うっかり足を滑らせないよう気を付けながら立ち上がろうとする僕を慌ててヴァイルが制した。
「ちょ、ちょっと待ってよ、レハト! 本当に飛び降りる気? 確かにあの人頑丈そうだけど、受け止め損ねたらどうするのさ」
 行かせまいとして僕の服の端を掴むヴァイルに僕はこう答えた。
 その時はその時だ、と。
 呆気に取られたヴァイルがぽかんと口を半開きにしたまま動きを止める。ヴァイルの反応も尤もだと思う。でもそう答える以外になかった。絶対に大丈夫だという保証がないことくらい僕にだって分かっている。もしグレオニーが失敗したらちょっとした擦り傷程度の軽い怪我では済まないことも。
 でも何となく確信めいたものがあった。
 グレオニーは僕を受け止める。例えその身に代えることになったとしても絶対に。
 彼は己の力量を弁えている。だからそれ以上のことは言わないだろう。
 では改めて飛び降りようと足場を確かめるが、グレオニーの成功率よりも飛び降りることの方が遥かに怖い。登っている時は気にならなかった高さに、今は足が竦んでしまっている。
 それでも行かなければ。
 こちらを見上げているグレオニーの目を真っ直ぐに見つめ返し、一度強く頷いてから思い切って枝を蹴った。蹴る瞬間さすがに怖さが頂点に達し、反射的にきつく目を瞑る。
 葉と葉が擦れ合う音に続いて風が下から上へと駆け抜け、体の内側が空に昇るような感覚にぞっとした時、何かにぶつかり僕の落下が止まった。訳も分からず、とりあえず縋るものが欲しくて懸命にその何かにしがみ付く。
 思っていた衝撃はやってこなかった。
 代わりに腕の中からくぐもった声が聞こえてくる。
「レハト様、レハト様。もう大丈夫ですから。このままだと俺の方が窒息死しそうです」
 聞き慣れた声に恐る恐る目を開けると、緩めた腕の中に苦笑混じりに笑うグレオニーがいた。
 どうやら無事受け止めてもらえたらしい。
 ゆっくりと地面に下ろされる。足の裏がしっかりと地面と密着するのを感じるのと同時に、がくりと膝が落ちた。僕本人の自覚以上に身体は恐怖を覚えていたようで、まともに立ってさえいられない僕をグレオニーが片腕で易々と支えてくれる。
「……本当にやるとは思わなかった。よっぽど信用してるんだ?」
 いつの間に下りてきたのか、ヴァイルが呆れたような感心したような、どっちつかずの表情でぽつりと零す。声に微かに滲む少しだけ寂しげな様に驚いたが、そのことを問うより早く、ヴァイルはいつものヴァイルに戻っていた。
 僕を誘ったときと同じ、快活な笑顔がその顔を彩っている。
「レハトは部屋に戻ってなよ。俺が強引に誘ったんだし、責任持って伯母さんのお小言は俺一人で聞くからさ。じゃ、またね」
 そう言ってひらひらと手を振ったかと思うと、僕に返事をさせる間も与えずにヴァイルは侍従たちを引き連れて城の方へと消えて行った。
 一瞬感じたヴァイルの変化はなんだったのだろう。
 僕の勘違いだろうか。
 ヴァイルの不可解な様子に考えを巡らせていると、不意に肩を叩かれた。
「レハト様、お一人で歩けますか?」
 尋ねられて足に力を入れてみると、さっきよりきちんと地面を踏みしめている感覚がある。
 安心させたくて、笑って大丈夫だと請け合うとグレオニーが幾分残念そうな顔をした気がした。何かいけなかっただろうか。どうも今日は相手に予想外の表情をさせてしまうことが多い。
 何がいけないのだろう。
 やや首を傾げた僕の背中をグレオニーが軽く叩く。
「では、俺たちも参りましょうか。ローニカさんがお部屋で待っていますから」
 ローニカの名前に歩むためにあげたはずの足が、元の位置に戻る。
 ここでローニカの名前が出るということは、わざわざ部屋で待っているということは、十中八九この一件はローニカの耳に届いているのだろう。
 逃げたい。
 全力で逃げたい。
 逃げたところで余計小言が増えるだけなのは明らかだが、気持ちだけが先行する。しかしグレオニーが容易く逃がしてくれるはずがない。
 それでも一応隙を窺おうとそっと見上げると、困った顔で笑われた。
「俺も一緒に謝ってあげますから」
 そういう話ではないのだがグレオニーだから仕方ない。
 グレオニーに腕を捕まれ、半分引き摺られるようにして僕は自室へと引き上げたのだった。

[ 完 ]

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