「冠を持つ神の手」の感想やら妄想やら色々ごった煮です。
一歩間違うとこうなるよね。
2010年04月06日 (火) | 編集 |
↓畳んでるSSもどきの説明

!! ヴァイル憎悪verC+グレオニー愛情verAED前提 !!  ※分岐あり
ヴァイルvsグレオニー。
レハト様出番無し。
書いた張本人が言うのもなんですが、ヴァイルが酷すぎるorz
一度前提エンドロールを回収、もしくはどこかで見てからの方が話が分かりやすいと思います。
「業」は完全に鬱EDです。
当方の同前提SS『道』の内容は一度一切お忘れになってください。
血とかダメな方は先に進まないでくださいね。



「業」でグレオニーをとことん不幸にしてしまいました、今は反省しています。

でも、
そこがいい 言わせてみせよう ホトトギス

おまえもう「グレオニー党」の看板外せよって感じですね。
でもてつこ先生が全て受け止めて優しく包み込んでくれるって信じてる。
いいこいいこしてくれるってしんじてる。
とりあえず、てつこ先生の胸にダイブしてくる(・ω・)ノシ

故郷EDへ向けてしたつもりが、あれよあれよという間にこんな想定外の事態まで発生。
いやあ、びっくりした。
ホントにびっくりした。
どうしてこうなっちゃったんでしょうねー。ねー?
途中まで展開がまるっきり同じなんで同じの読むのはタルいと思うので、ルート選択出来るようにしました。
「理」の方がSS「道」に繋がります。
「業」は無関係。
今はrass様の鬱EDがどんな展開だったのか気になってしょうがないです。
もっと不幸なんだろうか……。

そしていきなり気付いた。
グレオニーの畏まった時の一人称が「私」だったなんてそんな馬鹿な(゜Д゜)

■現在の受信状況
レハト様から「業」の続きとか。
あとヴァイル憎悪verB後とか。
トッズ憎悪verA後とか。
もうね、ネガティブSSブログでいいよ、ここ。

私も没ネタNo.1はダントツタナッセです





業、理


 回廊を行く王の一行を見留め、握り締めた拳でグレオニーは己の心を奮い立たせた。
 一介の衛士風情に時間は割けないと一蹴されるかもしれない。だがそれでも食い下がらねばならない時がある。今がまさにその時だ。全ての覚悟はしてきた。
 決意を込めた瞳で護衛たちに囲まれる王の前に立ちはだかる。
「失礼お許しください、陛下。レハト様のことでお聞きしたいことがあるんです」
「……名前は?」
「グレオニー・サリダ=ルクエスと申します」
 名乗った刹那、僅かにヴァイルの目が見開かれる。おまえが、と小さく呟いたような気がしたが、それが意図するところを訪ねる間もなく、手近な空室に剣を預けて入るよう促された。
 グレオニーの返事を聞く気はないらしく、ヴァイルは護衛に待機を命じさっさと室内へと消える。グレオニーも言われるまま、ヴァイルが引き連れていた護衛に腰に帯びていた剣を預け、居ならぶ護衛たちの視線に見送られながらその後に続いた。
 王は部屋の奥に配置された椅子に悠然と腰を下ろしている。グレオニーの背後で扉が閉まるや否や、机に肘をつき、掌に顎を預けた姿勢でヴァイルが口火を切った。
「それで話って何?」
 声こそ穏やかだが、窓から射す陽光を受けた両目がそれを裏切っていた。
 グレオニーはごくりと息を呑んだ。王の放つ存在感に威圧されたのか、喉に張り付いたように言葉が出て来ない。
 それでも何度も唾を飲み下し、ようよう口を開いた。
「レハト様のことです」
「……レハト? 誰だっけ、それ」
「誰って……もう一人の寵愛者様のことではないですか」
「ああ、そう言えばそんなのもいたっけ。その第二の寵愛者がどうかした?」
「ランテのお屋敷に実質上監禁状態と聞き及びました。なぜですか? なぜそんなことをする必要があるんですか?」
 グレオニーの直球過ぎる感のある問いにヴァイルがふっと笑う。愚かな、とでも言わんばかりの反応にむっとしつつ、グレオニーは黙って先を待った。ここで口を挟むのは得策ではない気がしたからだ。
 ゆったりとヴァイルが足を組む。顎から離れた指先がこつこつと規則正しい調子で机を叩いた。
「なぜ、か。継承権を放棄したとは言え、あれは今でも寵愛者だ。担ぎ上げて反乱を起こそうと企む輩がいないとも限らない。危険分子に対する賢明な措置と称賛されはしても、愚挙と諌められる謂れはないと思うけど?」
 レハトが見え空いた世辞に容易く騙され、ヴァイルに敵対する可能性があると本気で言っているのか。
 ヴァイルの真意をその表情から探るが何も掴めない。ただ分かるのは、双眸の奥に燻る憎しみだけだ。
「レハト様はそのようなことをなさる方では」
「お前に何が分かる。所詮お前も騙されてるに過ぎないくせに」
 声音に滲んだ強すぎる感情に驚かされた。ヴァイルがらしくなく内に秘めたものを剥き出しにしつつある。
 グレオニーが返す言葉に詰まり押し黙ると、ヴァイルが溜め込んだ感情を体外に出すようにゆっくりと深く息を吐き、改めてグレオニーに視線を合わせた。
「下らない陳情を持ち込んだからには、覚悟は出来てるんだろ?」
「はい」
「そうか」
 あんたがいなきゃレハトは約束してくれたのかな、と続けられた沈んだ独白に口を挟む余地はなかった。

[ 選択肢 ]
>> [業] ※流血・暴力表現等注意
>> [理]

































[ 業 ]

 ヴァイルの腕が真っ直ぐに伸ばされ、いつの間にかその手に握られていた剣の切っ先が不自然に消えている。
 グレオニーの目線の先にはあるのはヴァイルの手と彼が持つ剣の柄で、剣の先端はどこにも見当たらない。それは恐らくはグレオニーの後方にあるはずだ――体の中央を突き抜けて。
 完全に油断をしていた。仮にも王たる者がこんな暴挙に及ぶとは思ってもみなかったのだ。剣を抜いたヴァイルに対し、グレオニーには抜刀すべきものがない。もっともこの不意打ちでは帯刀していたところで、かわせなかっただろうが。
 現王は前の王とは違う。王の中に押し殺しきれない個人が同居し、時折公より私が勝る瞬間がある。
 突然のことに驚くグレオニーの中に、腹から突き出た柄を視界に留めながらもそう冷静に分析する別のグレオニーがいた。本当に彼を王と戴いて良かったのか。アネキウスの導きに誤りはないのだろうか。
 いくら考えたところでグレオニーに分かるはずもない。
 仄かな笑みを浮かべたヴァイルの手が回転したせいで、刺さったままの剣が肉を抉りながら円を描く。鋭い痛みに続き、じわりじわりと疼き始めた傷口に現実に立ち返る。
 腹が熱い。
 口内に錆びた鉄に似た味の液体が競り上がる。声より先に吐き出した血が、床に滴り赤く汚す。
 体が前に引き寄せられる感覚に抵抗出来ず一歩前に踏み出すと、腹から背へと貫いていた剣が体内からずるりと引き摺り出された。反動に逆らえずがくりと膝が落ちたが、膝を襲うはずの痛みは感じなかった。
 急速に体の末端から体温が抜けていく。倒れ伏さないよう上半身を咄嗟に支えた腕が震える。
 感じるのは痛みより寒さ。
 呼吸のたびに体から血液が抜けて落ちていく。制服の腹部は既に元の色を留めていない。自分が息をする音がひどく耳に付く。
 視界の端では、グレオニーが作った血溜まりを磨き上げられた靴が僅かな飛沫をあげながら通り過ぎて行く。
 彼を止めなければ。ヴァイルはレハトにとって害にしかならない。ヴァイルがいる限りレハトは常に危険に晒されることになる。彼女が再び自由を得ることは叶わずとも、せめて不要な干渉はしないで欲しい。願いはそれだけだ。
 けれど思考に反して腕はぴくりとも動かなかった。代わりに徐々に眼前に床が近付き、鈍い衝撃が脳を揺らす。
「可哀想に。レハトに騙されてることも知らないで。それとも印持ちの子どもでも夢見たの? ああ、恨むんなら俺を裏切ったレハトを恨むと良いよ」
 耳に突き刺さる言葉に反論したくても、それもままならない。口から漏れるのは低い呻き声と鮮やかな赤だけだ。
 違うと、自分はただあの方を愛しただけだと言いたいのに。想いが叶う望みなど抱いたことすらなかった。
 異を唱えようとして激しく咳き込む。
「誰か、誰かいるか!」
 言いたいことは言い終えたのか、ヴァイルが声を張り上げると、外に控えていた護衛たちが一斉に駆け寄る足音が床から直に脳髄に響く。
「突然襲いかかって来たためやむなく斬った。どうやら第二の寵愛者に唆されての凶行らしい。哀れなことだ。後始末は任せる」
 威厳を持って放たれる声には何の躊躇いも澱みも、抑揚さえもない。まるでそれが本当に真実であるかのように聞こえる。
 だが違う。哀れなのは王の方だ。
 不敬だと知りつつ、誰か信じることも愛することも、全て失くしてしまった孤独な王こそが哀れだとグレオニーは沈み行く意識の中で確かにそう思った。
 ふと、去りかけていた足音が止まる。
「あ、ちょっと待って……」
 その先は聞き取れなかった。水中にいるように全て音が広がり茫洋と周囲を取り巻くだけだ。目蓋が酷く重い。
 こんなところで死ねない、死んでたまるかと内に潜む声が己を叱咤するが目を開けるだけの体力さえ残ってはいなかった。
 悔恨を胸に根差しつつ、意識が途切れるまでひたすら最愛の人の名を繰り返す。
 ああ、もうこの腕は貴方を守ることすら叶わない。

[ 完 ]



































[ 理 ]

 姿勢を正したヴァイルの凛とした声が室内に響き渡る。
「期待に応えるのは嫌いじゃないんだ。グレオニー・サリダ=ルクエス、本日付けで王城付き衛士の任を解く。至急荷物をまとめて去るように」
 予め想定していた答えにグレオニーは眉一つ動かさなかった。もしヴァイルがグレオニーの無礼を全て水に流したとしても、近いうちに暇をもらい城を出るつもりだったのだから、ヴァイルの下した裁決は却って丁度良いくらいだ。
 王の意に従い、早々に立ち去るため一礼を残して引き下がろうとしたグレオニーを、話は最後まで聞きなよ、と早計さに呆れたような声音でヴァイルが引き止めた。
「と言いたいところだけど、考え直してやってもいいよ。勿論条件があるけど」
 条件など聞いても無駄だろう。
 どう歩み寄ったところで和解出来る気が全くせず、条件を聞く前に断ろうとするグレオニーをヴァイルが小さな手の動作だけで遮った。唇に穏やかな弧を描き、殊更優しげにヴァイルは目を細める。
 そのわざとらしい様子にグレオニーは表情を引き締めた。一体どんな条件を出して来る気なのか、警戒心を抱かざるを得ない。
「第二の寵愛者を忘れ、この城で俺に忠誠を誓えばいい。簡単なことだろ? それだけで全ては保証され安泰な暮らしが約束される。それでも全てを捨てる覚悟があると?」
「はい。ですからその条件は呑めません。レハト様を忘れて、全部を無かったことにして衛士を続けられる程、器用な性格ではありませんから」
 元より安穏な生活を望んで衛士として勤めていたわけではない。
 目標も目的も失い、性に合わない仕事を続けるよりは、故郷に戻り、身の丈にあった職に付く方が余程良いだろう。
 グレオニーの即答にヴァイルが愉快そうに声を上げた。一頻り笑った後で、やや低くめられた声音が誘うように囁く。
「確かに今はそうかもしれない。でも時間が経てばいずれ忘れる。人と言うのはそういう生き物だ」
「私は違います」
「どうだか。故郷に帰ったところで結局あんたは他の人間と結婚する。絶対に」
 やけに自信に満ちた口調にさすがにグレオニーも眉を顰めた。
 彼に自分の何がわかると言うのか。確かにひどく単純な人間で、すぐに感情が表に出てしまう性質であることはグレオニー自身自覚している。だからと言って殆ど接点のなかったヴァイルに決め付けられるのは些か不快だ。勿論、わざわざそれを口にする真似はしないが。
「待ちますよ、私は」
「待ったところであれがあんたの気持ちに答えるとは思えないけど」
 答えてもらうために待つのではない。
 最後に伝え切れなかった言葉を伝えるために待つだけだ。それに対して彼女がどんな返事をするのかはグレオニーの知るところではない。ただ、本当の想いを言えないまま後悔だけが残るのは嫌だった。
 待つのは自分のため。
 彼女のためではない。
 叶わないから諦める――そんな風に簡単に割り切れる時期はとうに過ぎ去っている。
「それに……」
「それに?」
「信じてるんです、あの方が見せて下さった真心を」
「真心、か」
 ヴァイルが軽く鼻で笑う。
 ヴァイルがどんなレハトを知っていようが関係ない。グレオニーはグレオニーの知るレハトを最後まで信じるのみだ。直接話す最後の機会となってしまったあの日、グレオニーの頼みに頷いたレハトは言葉通りに女性を選んでくれた。その気持ちを今も変わらず信じている。そしてあの日のまま、待っていてくれているのだとしたら応えたい。
 口を閉ざしたヴァイルと睨み合う様に対峙する。
 二人の主張は決して交わらず平行線を空しく辿るばかりで、どんなに時間を費やし協議を重ねたとしても立ち位置が異なる以上結論は変わるまい。
「まあいいか、騙されて泣きを見るのはあんただし。それが望みだと言うのなら叶えてあげるよ」
 追い払うようにヴァイルが手を動かし、グレオニーは一礼でそれに答えて身を翻した。
 これで漸く前に進める。
 固い決意を胸に扉を開け放ち、外で待機していた護衛にも軽く頭を下げると、グレオニーは振り返ることなく己が手で選んだ道を歩き始めた。

[ 完 ]

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